■読者からの質問
先日、私の会社が「週の所定労働時間を44時間以内にしていない」との労監の指摘を受けました。※社長を除き、従業員9名で業種は商業です
そこで、社長は「1ヵ月単位の変形労働時間制」にするといったのですが、その法定労働時間の計算が納得いかないのです。
社長がしめす法定労働時間
31日ある月=44h÷7日×31日=194h
30日ある月=44h÷7日×30日=188h
29日ある月=44h÷7日×29日=182h
28日ある月=44h÷7日×28日=176h
上記が社長の計算方法なのですが、これで本当に正しいのでしょうか?
例えば、2006年4月を社長式に計算すると、
第1週 45h実労働 ※12:00?13:00は休憩
第2週 45h実労働
第3週 54h実労働
第4週 54h実労働
計 198h実労働・・・・
よって、188hの法定労働時間を超えた10h分の割増賃金を払えば良いというのです。
しかし、第1・2週は週ごとにみると「週44h労働」からは1hずつオーバーしているし、第3・4週も10hずつオーバーしているのに、なぜ22hオーバーとならないのですか?この差が納得いかないのです。
■たまごやの回答
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
まず「なぜ22hオーバーとならないのか?」ですが、この場合1ヶ月4週として計算すれば28日となり、この日数ならば198hは22hオーバーになりますが、実際には2006年4月は1ヶ月30日ですから、22hオーバーとはなりません。週単位の計算では合わなくなるのが変形労働時間制の特徴ですが、別に損をしているわけではありません。1ヶ月経過した時点では同じになります。
2006年4月を1ヶ月単位の変形労働期間とし、1日の所定労働時間が8時間の事業場の場合、所定労働日を何日とすれば法定労働時間内となるかは以下のとおりです。
・変形期間内の法定労働時間の総枠
変形期間の暦日数(30日)
週法定労働時間(44h)×———————–
7
※商業において常時使用する労働者が10名未満のもの⇒週44時間(特例)
計算の結果、2006年4月の法定労働時間の総枠は、188.5時間となります。
・限度労働日数を求める
法定労働時間の総枠内(188.5時間)に所定労働時間が納まれば、1週間の法定労働時間をクリアすることになります。
変形期間内の法定労働時間(188.5h)
計算式=———————————–
1日の所定労働時間(8h)
計算したところ、23.56・・・日⇒切り捨てて23日。
従いまして、お尋ねの件である実労働時間198時間であれば、188.5時間を超えた分(限度日数23日も超えていませんので)について割増賃金を支払えばよいことになります。どうやら社長の計算が正しいようですね。