[11]病棟日記-点滴-
私は点滴が好きだ。点滴をすると安心する。特に入院した時は点滴をしないと入院した気分にならない。それくらい妙な安心感があるのだ。実際点滴をすると元気になる。これはほんとだ。頭もすっきりするし。日本では認められていないが、外国では点滴の出張サービスもあるくらいだ。疲れた企業戦士の為に昼休みに看護婦がやってきて点滴のサービスをするのだ。
ところで、今回の入院で一番残念なのがこの点滴が非常に少ないと言うことだ。入院して今日で16日目になるが点滴を受けたのがミエロの時だけ。点滴好きの私にとってこれは至極残念なことであった。
ところでこの点滴だが最近ではちょっと方法が変わったらしい。以前入院したときは薬液に空気抜きの針を刺し薬液が落ちると同時に泡がプクプク生じて変哲のない病室風景に変化をもたらしていた。
しかし最近の点滴は空気抜きの針を刺さない。従って薬液が減ってくると瓶が萎んでくる。静脈に刺した針にかかる負圧で吸引するのか?そのせいか動いたりすると血液がすぐ逆流する。向きによっても落ちる速度が変わったりする。感染を防ぐためなのかよくはわからない。
新患さんが入院すると大体すぐ点滴することになるのだが、おかしいのは薬液が無くなってくると一生懸命ナースコールするんだな。薬液が無くなって空気が来ようもんならもう大変な騒ぎ。付き添いの奥さんが死にそうな声でナースコールする。空気が入ると死んじゃうと思うんですな。
でもこれは大丈夫なんですね。点滴で空気は入っていかないんです。だから看護婦はのんびりやってきます。それがまた奥さんにとっては気が気じゃないわけ。ま、健気ですな。
※1997年10月23日記述