[12]体重の移動
運動するときの体幹の動きは、屈曲・伸展・回旋の3通りで中心の力を末端に伝えて動くことが出来ます。では、運動するときによく言われる「体重移動」はどのようになっているのでしょう。
前回ゴルフスウィングで紹介した動きになるのですが、一番体重移動を繰り返し使う運動は歩行です。体重移動と聞いて、どんなイメージがわき上がりますか?足を肩幅に開いて立って、右足から左足、左足から右足への体重移動をしてみて下さい。通常ですと、まず上半身を右から左へ、あるいは左から右へ傾けて足にかかる重さを移動していると思います。確かに足にかかる重さの移動は出来ます。その方法で早く移動できますか?やってみてください。
例えば、右から左へ上半身を移動させるためには、右足で地面を蹴って上半身を左へ移動させます。では、逆のサイドへ直ぐに移動させて、またその逆に移動させて・・・。早く動けましたか?では、今やった体重移動で足のどこに重さがかかっていったかを感じてみて下さい。おそらく左右の股関節の外側、あるいは足底の外側に自分の重さを感じているはずです。バランスは極端に悪くなりますし、決して早くは動けなかったと思います。
大腰筋が使える姿勢を作って下さい。肩幅に足を開いて、右股関節を内側に回旋させてみて下さい。上半身は右側に倒れることなく、右側に少しだけ移動しました。これが体重移動なのです。では、左股関節を内側に回旋させて。上半身は直ぐに左に少しだけ移動します。自分の重さはどこに感じますか?股関節の内側、足底の内側に自分の重さを感じるはずです。体重を移動させた反対の足を上げてみて下さい。大腰筋を使えば、十分に片足で立てるほど体重を移動できているでしょう。
この要領で歩いてみましょう。右股関節を内側に軽く回旋させると左足を前に出すことが出来ます。逆に左股関節を内側に回旋させれば右足を出すことが出来ます。この連続です。初めは、かなり意識して自分の重さを前に移動させていって下さい。歩くと言うことは、自分の重さを前に移動させることです。慣れてくれば、股関節を回旋する意識がなくても、自分の重さを股関節の内側にかけると言う感覚だけで、体重移動が出来るようになります。
まっすぐに立つと言うことは、中心軸が両方の股関節の真ん中にあると言うことです。両方の股関節を軽く内側へ回旋してみて下さい。ただ単に上半身の重さを足で支えていると言うよりも、自分の身体がしっかりと地面を掴んでいるという感覚で立てるはずです。
岸 元(きしはじめ)