[14]固定して動く(手)

腕を身体から放して動かすときには、肩周辺の筋肉だけを使うようになります。これでは、どんどん身体の癖が強くなっていきます。
今回は腕を動かしてみます。前回、肩関節を固定すると言う表現がありました。分かりにくければ、胸と腕を一体にすると言う表現ではどうでしょう。つまり、腕だけを動かすのではなく、身体全体を使って腕に力を伝えて動かす方法です。
初期動作は足を動かすときと同じです。例えば、右腕を上げているとしましょう。右腕を下に降ろします。右の股関節軸に重さを乗せて、右腸骨と股関節を固定したまま右下肢全体を軽く前に上げるような意識で動くと右腕は身体と一体になって、自然に下におります。両腕を降ろすときには、両方の足に均等に重さを乗せて置いて、両下肢全体を前に軽く上げるように動くと、両腕は身体と一体になって自然に下に降ろせます。この動きは、腸骨の上のライン、へその位置になりますが、で身体を屈曲するときの動きです。へそのラインで身体を屈曲させると同時に腕を降ろす動作になります。
では、腕を上げる動きはどうでしょう。以前、右腕を上げるときには右股関節に重さを乗せて上げると言う方法をお話ししたことがあります。さらに強く上げる動きです。先ほどの動きに、さらに別の動きを加えます。右腕を上げるときに、右股関節に重さを乗せ、右下肢全体を軽く前に出すように動き、上体が軽く屈曲したら右腸骨を前に軽く出します。同時に右腕を上げてみて下さい。へそのラインで身体を伸展させながら腕を上げる動きになります。あるいは、素早く右下肢全体を前に出すような意識で、右股関節に重さを乗せたままで屈曲して下さい。それでも右腕を素早く上げることが出来ます。
腕を内側・外側に動かすときの動きを説明します。これは同じ動きになります。例えば、右腕を内側に動かすときと、左腕を外側に動かすときは同じ動きになります。右腕を肩の高さに上げて前に伸ばします。左股関節内側に重さを乗せて、左下肢全体を内側に軽く上げるように動きます。身体全体が左側に回旋します。胸と腕を固定していますから、右腕で内側に押すことになります。これと同じ動きで、左側の腕を前に伸ばしておくと、左腕で左側に押す動きになります。
腕を動かすときに肩周辺の筋肉に意識を集中するのではなく、腸骨に固定した下肢全体の動きに意識を集めて動いてみて下さい。これまでにない力を自分の外に出すことが出来ます。
岸 元(きしはじめ)

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