[25]姿勢の大切さ

最近治療をしていて、改めて姿勢の大切さを思います。子供の頃から、「ちゃんとした姿勢できちんと座りなさい。」とか「背中を丸めてはいけません。」とかよく言われていました。皆さんも覚えがないですか?ところが、正しい姿勢と思いこんでいた姿勢、これが間違っていたらどうしようもありませんよね。
ここで患者さんの例を2つ紹介しましょう。一人目は、80代の女性です。膝の痛みが常時あり、杖を使ってないと歩行できないのです。家の中でもその状態ですから、お盆に物を乗せて運ぶなんてとんでもないことです。この方の姿勢は、腰部を極端に反らし、お腹を突き出している姿勢です。以前にもお話ししたことがありますが、お腹を突き出すと、当然股関節は外側に回旋します。いわゆるがに股状態です。両膝はそれぞれが外側に向いています。女性の場合、足の先を開かないように立つ事が多いですから、膝の向きと足先の向きが違う方向を向いてしまいます。
この姿勢で歩くと両側の膝は、常に内側から外側に向けて力を掛けることになります。大腿部は外旋し、下腿部は内旋している状態になります。膝の軸がずれているのですから、膝の内側にいつも大きな重さをかけることになります。内側半月板を損傷していくようになります。この方は、すでに半月板は機能しない状態になっているそうです。ところが、腰部の反りをなくすように、尻尾を下げてへその位置から胸を前に出すような姿勢をとって貰うだけで、両側の膝の痛みを感じなくなりました。
もう一人は、50代の男性です。股関節の激しい痛みでした。この方も「良い姿勢」は、身体全体を反らせたのがよい姿勢と思いこんでいました。野球で右の肩を壊し、上半身は右側が凸の状態です。当然、下肢への重さは右側が重くなります。右腸骨は仙骨に対して外側に回旋し、右股関節も外側に一杯に回旋している状態でした。歩き方は、膝を上げて歩くので当然股関節もかなり屈曲しなければならない動き方です。ほとんど固定されている股関節を無理に動かすわけですから、激しい痛みを発症したのです。勿論身体の調整も行いましたが、それだけではこの痛みは取れませんでした。
へそから下が、足だと思い歩いて下さい。股関節を屈曲させて歩くのではなく、膝を曲げずにへその位置を屈曲させるつもりで足を前に運ぶように。と何度か練習して貰い、これなら歩いても痛みがないと言うところまでできました。
間違った姿勢で困っている人は、かなりいるはずです。2週間、自分の身体と自分の姿勢に向き合ってみて下さい。そうすれば、1ヶ月後には身体の方から教えてくれるようになります。ほら!悪い癖が出てるから、痛みが出てきたでしょう。と。
岸 元(きしはじめ)

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