[29]正中の3本の軸

身体の軸で、左右の股関節内側部と正中の3本の軸の話しは、これまで何度もしてきました。今回は、正中の前、中、後ろの3本の軸のお話です。
「孫が帰ってくるのは嬉しいんですけど、何週間もいられると私の身体が、ガタガタになってしまって。」と治療にいらっしゃる50、60代の女性が多くいらっしゃいます。娘はここぞとばかりに、上げ膳据え膳で子供のおもりも任せっぱなし、と言う話をよく聞きます。何が大変かといって、「抱っこ」です。保育士さんからも、肩こり、腰痛のことでどうしたらよいのかと聞かれることがよくあります。
このことと正中の3本の軸、重要な関係があるのです。これまで自分の体を自由に動かすには、中の軸から前の軸を使ってきました。その方が、自分の回転軸が巧く使え、胸骨の上げ下ろしが楽に出来るからなのです。前、中、後ろの軸を使うにも、下腹部をぺちゃっと引っ込めるのは同じです。では、後ろの軸はどんな特徴があるのでしょう?もうおわかりですね。垂直の力を支えるのにとても便利な軸です。あるいは、前からの力を受けたときに、その力を体の中で垂直方向に変換して足に逃がす軸なのです。どちらにしても力を巧く足に逃がすことが出来ます。
後ろの軸の作り方ですが、へそから足までは同じです。前の軸は、胸骨を前(上)に出す。中の軸は、胸骨中立。そして、後ろの軸は胸骨を後ろ(下)にします。さて、正中の軸を後ろにして子供を抱っこしてみましょう。右腕でも左腕でもかまいませんから、肘から手首までの間に子供のお尻を乗せるようにして、手首は軽く反らします。示指を屈曲させないようにして下さい。反対の手で背中が後ろに倒れないように軽く支えます。胸骨を後ろ(下)にして、腰部は絶対に反らさないように注意して、背中全体が丸くなるようにして立って下さい。丁度、大きな樽を身体の前に抱え込むような感じに腕も大きな丸を作るようにして下さい。
いかがですか?縦方向からも横方向からも身体の軸を崩さずに立っていられるはずです。腕の力は使わずに済みます。もし、腕に力を感じるなら、腕の大きな丸を作るときに、両方の肩を上げずに下げるくらいの気持ちで、手の指先から大きな丸を作るイメージで姿勢を作って下さい。
足底の重さを感じる位置は踵にはきませんが、足の裏全体に感じるようにして下さい。正中前の軸では足底の拇指丘に重さを感じますから、それよりは若干外側になるようです。身体がしっかりしている子供なら、片腕でも姿勢を崩さずに抱っこできますよ。
岸 元(きしはじめ)

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  1. [30]後ろ軸を練習して

    頚部の前が凸のカーブ、胸部の後ろ凸のカーブ、腰部の前が凸のカーブ、そして仙骨の後ろのカーブです。この4つのカーブで体重を無理なく支えているのです。

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