イセエビは伊勢海老と書きます。数ある食材のなかでも「おめでたさ」はナンバーワンではないでしょうか。その「おめでたさ」をもっとも象徴するのがその名前「伊勢海老」です。伊勢は三重県の伊勢神宮をイメージさせます。伊勢神宮は「お伊勢様」とも呼ばれ、神社の中でも本家本元。日本の神道のルーツといえる正統派の神社です。伊勢海老はそのお伊勢様にあやかった名前です。
またイセエビは具足海老ともいわれ、その姿が鎧武者のようで見栄えがするため飾りにも多く使われてきました。正月飾りや料理のお造りなどにも利用されるので、立派なヒゲ(触覚)が欠けていたり、足が折れていたりすると極端に価値がさがります。市場価格も姿かたちで決まることが多く、そのために高価であり高級魚の代表にもなっているわけです。
足や触角が折れたりしているものは、地元の民宿などで料理されます。見栄えを気にしない加工料理には使われたりしますので、安く提供されます。こういった料理は地元でしか味わえないものなので、いまだにイセエビを食するときは漁港付近の料理民宿が人気なのもうなずけます。
三重県の県魚となっているイセエビですが、この名前が付いているのは伊勢地方で獲れるからかというと、それはそうなのですが漁獲量は一番ではありません。漁獲量としては千葉県と和歌山県が最多。三重県は三番目に位置するようです。
イセエビは10月から4月までが旬。産卵期の5月から8月は禁漁期です。縁起物としてお正月のおせち料理や、お飾りに使われますが、このお正月期は味も良くイセエビの美味しさを堪能できる時期でもあります。
料理でイセエビと比較されるのがロブスターですが、ロブスターは海老というよりはザリガニの仲間で、イセエビとは一線を画します。そのままでおいしいのはやはりイセエビで、素材の持ち味をいかす日本料理に合います。
対するロブスターはフランス料理などに使われ、身の部分と鋏の部分とで味が違うため料理方法やシェフによって味が変わります。
ちなみに、イセエビというとお刺身がおいしいように思いますが、もちろんお刺身でも十分おいしいのですが、できれば蒸すほうが味が出て更においしくなります。
たまごやは解禁となる10月に、西伊豆は雲見温泉の民宿「富久三苑」にてイセエビを堪能してきましたので、そのときのレポートもあわせてどうぞ。
⇒ http://www.tamagoya.ne.jp/famirest/20071007fukumien.htm
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