■読者からの質問
先日、今まであった定期昇給が無くなり、成果主義主体の評価制度を導入しての定期給与改定に変更するとの書面1枚での通達があり、各部、各課でまちまちだった能率手当(8,000円に)を一律化するという名目で手当を下げられてしまいました。
そもそもこの手当は会社側が基本給(賞与に反映される為)を定期昇給で上げたくない変わりに手当を作ってそこを定期昇給で上げてきた手当です。下は8,000円から上は40,000円もらっている人がいました。
上司に相談しても役員会で決まった事だし俺も下がったからからと言われ話になりません。ちなみに労働組合はうちにはありませんし、監督署に相談しに行ったら、色々な過去の裁判結果などを見せられ、突き詰めれば違反になる、と言われて、何とかしてあげたい気持ちはあるけど、監督署では判断できないと言われてしまいました。あっせん申請という方法で裁判しなくても一日で話がつくやり方もあると説明されましたが、そんな事をしたら会社にいずらくなると思いますしどうして良いかわかりません。このまま泣き寝入りするしかないのでしょうか?
■たまごやの回答
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
景気は上向いているものの「給料を下げられた」という事例はやはり多いようです。今までは固定給だったものを、歩合給あるいは成果報酬などの仕組みを変換することで業績に見合った適正な人件費を目指すもので、これ自体はなんら問題はなく、むしろ好ましいことといえます。
問題なのは、コストを削減する意味だけで成果報酬を採用する企業です。そのような企業は、固定給より成果報酬のほうが下がる場合は成果報酬を採用し、業績が上がってきて成果報酬が上がるようになると今度は安価な固定給制度を採用しかねません。このあたりは使用者のモラル如何ということになります。
しかし、本来使用者と労働者の間の労働契約は、お互いの納得の上で決められ、その合意があって成立するものです。契約には、労働時間や賃金が含まれますが、賃金についても合意があって初めて成立します。賃金を上げるも下げるもお互いの合意があれば法的にはなんら問題ありません。お尋ねの場合も、合理的な理由があれば給与体系の変更、就業規則の変更、そしてその結果としての減給も認められます。
しかし折衝となれば使用者と労働者ではおのずと力関係が違いますから、そのために労働組合があるわけです。賃金を上げる場合には、ほとんど問題にはなりませんが、賃金を下げる場合には闘争になるでしょう。労働組合の出番です。
労働組合がないとのことですが、通常残業などが行われているとすれば三六協定が必要なので、労働組合は形だけでもあるはずです。しかしそれが機能していないとすれば複数人数で交渉するしかないでしょう。
いずれにしても、まずやるべきは交渉です。粘り強く行いましょう。どうしても合意が得られない場合には、労働契約は成立しませんから、その場合は退職も視野に入れましょう。辞める勇気がないのでしたら条件が悪くとも「合意」するしかありません。それを「泣き寝入り」ととるか「合意した」ととるかは本人次第です。
辞めるということは渦中にいるときは大変なことですけれど、いざ辞めてしまえば、よかったと思えることも多いものです。新たなチャンスはいくらでもあります。