[19]治療の仕方
腰痛、肩のこり、頭痛、背部の痛み、膝、足首の痛み、臀部の痛みなどは、全て体のバランスを崩している状態です。バランスの崩れは、年齢と共に増していきます。日常の仕事、介護、生活の中で次第に崩れていくのです。
これまで日常生活での崩れを防止する方法をお話ししてきました。そして、元々持っている自分の癖治しの方法もお話ししてきました。ただ、それらがどうもマッチングしていないような感じなので、私が実際にやっている治療方法の手順をお話ししようと思います。
まずは、姿勢分析で私の方を向いて立って貰います。これは、左右どちらの足のどの部分に重さがかかっているかを見るためです。次に、椅子に座って貰い、背中の力をダラッと抜いてもらい、左右に回旋させてどちら側に上体が回旋しているかを見ます。頚部も同じように回旋の状態を見ます。そして胸郭(肋骨の籠)の捻れ具合を見ます。これは、腹側の肋骨の左右の高さを見れば直ぐに分かります。左右両方の肩関節の動き、腕を前後に動かしたときの鎖骨の動きを見ます。これで、身体の癖がどうなっているかを判断します。
治療する手順ですが、まずは仰臥位で寝て貰い、胸郭の捻れを作っている背部の肋骨頭部分にブロック(カイロプラクティックで骨盤調整に使用する物)を差し込み、20分程度寝ていて貰います。胸から腹部の胸郭が、左右横から軽く押圧して軟らかくなったところで、胸鎖関節部、肩鎖関節部、肩関節の調整を行います。この時点で、もう一度左右の足のどちらに重さをかけているかをチェックします。ほとんどの場合に、左右の重さバランスは大まかに改善しています。つまり、骨盤の調整をしなくても、上体の捻れを改善することで身体のバランスを回復しています。
その後で、勿論サブラクセーションを起こしている椎骨の調整を行い、無理なバランスで上体を支えなければならない骨盤の調整を行います。ただ、よほど無理をしているとか、長い期間捻れた状態でいる人には、胸郭と肩関節、肩鎖関節部にテーピングをして、正常な状態に近いバランスまでもっていきます。
上体の捻れを作っている原因は、肩、鎖骨の状態と胸郭です。これが15年間カイロプラクティックをしてきた私の結論になりました。手、腕の使い方で肩関節、鎖骨の動きに影響が出ます。胸郭にもその影響が出ます。しかし、逆に姿勢によって、手、腕の使い方が制限されます。だから、無理のない身体の使い方を日常生活で送るために、古武道の動きを取り入れたのです。
岸 元(きしはじめ)