私が推測するに、オーネットの活動が活性化するのは、入会してから数週間経った頃から全国版会員誌(入会2?3ヶ月後)に掲載された後の1ヶ月あたりであろう。つまり、5ヶ月間程度がピークで、その後は期待も薄れ、紹介状の数も減り…という憂き目?!が待っているようだ。支払ったお金の目減り具合もそれと比例しているようで、5ヶ月間でおおかたを使っている。
5ヶ月後に、やっぱりオーネットで結婚相手を見つけるのは無理なのかなぁ、と嘆いたところで時すでに遅し。どの道、退会返戻金も微々たるものだし、異性と出会う機会もないのだから、このまま加入していようかな…。確固たる意識があるなしは別として、そう思いつつ、半ば惰性のように在籍している会員が多いのではないか。そう考えてみれば、何度も言うようであるが、実によくできたシステムだ。(いまだ再婚できていないから恨めしげに言うわけだが)
それはさておき、私はしばし日本を離れ、子連れで仕事仲間少数名と某国に海外旅行に行ってきた。離婚後、初めての海外であり、今日は帰国したばかりである。独身時代はバックパッカーまがいの旅もいとわないベンチャーだった私も、幼子を抱えて男手もないとなると、旅行会社のツアーをよしとし、不本意ながら案外保守的な旅行であった。しかしながら、仲間と異国を見聞し、ハイグレードなホテルに泊まり、愛する息子と戯れるひとときは快適であり、それはそれで楽しく、いいリフレッシュになったと思う。
しかしだ。同行者に私と同じ年の息子を持つ仕事仲間(男性)がおり、その家庭は両親揃っての参加である。私は言い様のない不憫さと敗北感を感じずにはいられなかった。しかし我が息子はパパが居ないことなど意に介さず、全く悲壮感ない様子でいつも通り明るく無邪気な立ち居振る舞いだ。それがせめてもの救いだろう。
また、仕事仲間の子どもは非常に品行方正で、両親の手を煩わすことなく終始おとなしく過ごしていた(仕事仲間自身がかなり真面目な性格であるから親に似たのだろう)。円満家庭に育つ品行方正な他人の子どもと、片親家庭に育つやんちゃすぎる子ども…。先行きが不安ながら、それでも我が子が愛おしいし、あんな家庭はつまらないだろうと思ってしまう。その考え方が今日の境遇を招いたのだろうが。
本城愛子
[15]無知の怖さ
逆らうことのない完全なる金庫番となった私を思う存分利用して、男は私の稼いだお金を次々と引き出していった。この頃には、お金を引き出す理由などまったく要らないほど、私が完全に男に調教されていたのは明らかだ。
離婚したばかりの頃、今後の生活に不安を抱いた私はまだ今のうちなら夜の仕事で効率よく働くことが出来るのではないかという安易な考えで男の経営する店に飛び込んだ。実際本当に効率の良い仕事だったことは間違いない。いっしょに働く女の子たちも普通の子に見えたし、私たちをサポートする男子社員もいたって普通の子達に見えた。
しかし、ただ一つだけ最も重要な事実を私は知らなかったのである。夜の世界に渦巻く人間たちの怖さがどれ程のものかという事実・・・
親切に近寄ってきた男を本当に親切な人物として受け入れ、頼るようになり、遂にはすっかり調教されてしまった私。男が親切にした事も、頼るように仕向けた事も、体を使って調教し完全な金庫番に仕立て上げた事も、なにもかもがアカサギの悪質極まりない計画であることも知らずにまんまと騙された私。そして稼いだお金を次から次へと引き出される。
それでも働き続ける私。なぜなら、働いても働いても離婚した当時の不安が消えなかったのである。私はただ、これから生きる先に何かが起こって働けなくなっても暫くは食いつなげる程度の蓄えを作っておこうと思ってこの仕事を始めただけなのに・・・働いても働いても自分の目の前をお金が素通りしていってしまう現実に突き当たっていた。
早乙女夢乃