[27]エピローグ

休会・退会など各種手続関係には規定の用紙があり、大阪のシステム部に送ることで退会が成立する。支社の担当者に一報を入れるというのが筋かとも思ったが、退会したいと告げたところで引き留められるに違いない。一報を入れずに郵送したとしても、退会届けには担当者名を記載する欄もあることだし、担当者から連絡があるだろう。
案の定、投函した翌日には担当者から電話が入り、退会の理由を聞き、あれこれと思いとどまるよう切り返してくる。ここで少し気の弱い人や優柔不断な人は思いとどまるのだろうが、私の意志は変わらない。執拗なやりとりはまるで、引き際の悪い男との別れ話のようだった。
別れ話なら、理由を聞いてきた時点で激高するところだが、そうはいかない。埒が明かないので、「一晩考えてみます」と言って電話を切り、翌日に「やっぱり気持ちはかわりませんでした」ということで退会を納得してもらった。しかし、退会後6ヶ月以内であれば、返戻金を返金すれば復帰できるのだという。なんたる未練がましいシステムだ。
退会してからは、サンマリエに在籍する同級生と大勢のお見合いパーティに参加した。残念ながら、成果はなかったものの、その楽しさ?に目覚めつつあり、また参加しようと考えている。また、ヤーフーの縁結びにも関心を持っている。ただ、結婚や恋愛よりも、人生の喜びを子どもの成長に見いだしている自分がいることも確かだ。
最後になりましたが、高飛車な偏見と思いこみに満ちた本メルマガを愛読してくださった皆さま、情報の提供や激励のメールを送っていただいた皆さま、どうもありがとうございました。また、書く機会があればご愛読のほどよろしくお願いいたします。
本城愛子

[26]結局、退会を決意。

結婚したい気持ちはあるはずなのに、色々と考えるばかりでオーネットの活動期間が過ぎていく。そのうち、オーネットというスタイルで相手を探すことに疑問を感じ始めていた。子どもが急速に成長していく時期であり、何かと忙しいこともある。
私には、日々の育児もあるし、休日に子どもと何をして遊ぶか、という重要な課題があるのだ。成長記録ビデオの編集作業もたまっている。こうして子どもに心を砕くことが親以外の第三者にできるだろうかという思いがくすぶる中で、私はオーネット退会の決意をした。
ところで私の知人で長年不妊治療をしていた夫婦がいる。治療には費用がかかるし、精神的な苦痛も大きいと聞く。それでも我が子を抱くことを夢見て10年あまりがんばったらしいが、ついに諦めて、残りの人生は2人のために、2人で楽しく過ごそうと決めたらしい。そう決めた瞬間から2人の世界観は大きく変わった、と彼らは言っていた。肩の荷が下りたのだろう。オーネット退会を決意した気持ちと重なる。
結婚を諦めたわけではないが、結婚したい、両親が揃っていた方がいい、そうした呪縛から逃れ、自然の成り行きに任せようと思った瞬間、私は自由になれた気がした。何とも言えない開放感と充実感を得たのだ。もしかしたらこの先、異性との出会いがないかもしれない。それならそれでいいではないか、と思うのだ。バーチャルな出会いが錯綜する世界で、迷い戸惑いながら『結婚』に翻弄される必要がない分、まだマシだ。
私の場合、オーネットの費用は一括で支払っているのでいくらかの返戻金がある。入会してからの数ヶ月で大きく消費してしまう仕組みなので返戻金はたいした額ではない。費用は1年間で消費してしまうが、在籍期間は2年間。もし退会しなければ、払った会費(入会金を除く27万円程度)で2年間は在籍して活動することができるが、惰性で続けてしまうのは無駄だと判断した。
本城愛子