[19]成功報酬ではない故に

データマッチングで一致した相手から申込書が来て、断ってしまったのだが、後に全国版の情報誌に掲載されているのをみて、逃した魚は大きい?!とばかりにこちらから改めて申し込みをしてみた。
ところが、一度お断りした相手には『お取り次ぎ』ができないということで、コンピュータ自動システムから取り次ぎ不可の連絡メールが入る。ちょっと残念な気もしたが、別件ついでに担当者へ「絶対無理?」と尋ねてみた。すると、事情によっては相手の方の承諾が得られればできるということらしい。
紹介書を頂いた当時、お会いしていた男性がいたので、その他一切の紹介書はお断りとして返却しました、と告げると、暗に「すぐに会わずに紹介状は複数確保しておいて並行して…」みたいなアドバイスを頂いた。会わなければ恋愛は始まらないのではないか。また、誰彼に対して中途半端な状態で接して、果たして誠実で真っ当な恋愛が進行するのだろうかと疑問を抱いたが、まあ仕方ない。
なぜ仕方ないかと言えば、それがオーネットのシステムそのものなのだ。『成婚料は頂きません』と得意げに唱っているが、それは成功報酬ではないということだろう。弁護士にしろ、探偵にしろ、成功報酬があるからこそ、がんばってその職務を遂行するのではないか。
オーネットの場合は、成婚すれば退会してしまうのだから、成婚せずに、在籍してくれる方が儲かるわけである。結婚相手を探し続ける男女がいることで利益を生んでいるのだ。新しく入る方には紹介する相手はたくさんいますよ、という売り文句にもなるから、それは実に好循環を生み出している。お相手を紹介はするけど、結婚はしないでね、的なシステムなのだ。
本城愛子