ある時から、騙されてしまう人々をニュースで聞いたり、私の身近で体験した人を目の当たりにする度、『私は、絶対騙されないように気をつけよう』と思って生きてきました。
とはいっても、以前は内職商法に騙されたり、怪しいダイエット通販に騙されたり、エステ被害にあったり、催眠商法に騙されそうになったり、借金のある男と結婚しちゃったり(現在は婚姻解消しています)と、笑っちゃうくらい騙されてきました。
ちょうど特定商取引法が施行されたころ、私は母子家庭になっていた為、なんとか仕事を増やせればとパソコンで仕事をする為に夢中でした。ところが、特定商取引法云々という情報を知り、「私は内職商法に騙されていたのだ!」と知りました。
その後、夢中で法律を調べて、どうしたら被害回復ができるかと考え消費者センターに相談に行きました。行政相談も受けました。比較的簡単なものに関しては自分で、難しい案件に関しては弁護士に依頼したりもしました。これらに関しては約半年で、5件の回復をすることができました。
そしてその日から、今後は騙されないように生きていこうと決心したのです。ところが・・・・・
その頃に出会って近寄ってきた、親切そうな男が・・・『究極の恋愛詐欺師』・・・そう『アカサギ』だったのです!!!
正確に言えば、出会ったのはもうちょっと前だったと記憶しているのですが、とにかくその男は私のこの内職商法等の被害回復に関して、非常に親身になって相談に乗ってくれていました。なんだかんだいっても、行動を起こしたのは自分なのですが、その男の助言や意見は第三者の意見としてかなり参考になっていましたし、私のモチベーションが継続できたのは彼のおかげと言っても過言ではないでしょう。
それからかれこれ6年近く、私は彼を慕ってきました。もちろん彼を信じきっていたわけではなく、用心深い付き合い方をしてきたつもりではいたのだけれど、その男はその用心深さを逆手にとった巧妙な手口で私を騙し続けてきたのだ・・・と今となっては思います。
私が毎週楽しみにして欠かさず見ていた山下智久くん主役の『クロサギ』。くしくも、この番組が私の彼への疑惑を大きくし、それからはお互いの探りあいが始まりました。
その時の疑惑いっぱいの私の態度から本性を現したその男は、私が感づいたと思ったのか、もう私からひっぱる金はなくなったと感じたのか、私との距離をおくようになりました。
今思うこと・・・その親切そうな男の本性・・・私に近寄ってきたその男が、当時の私の問題に親身になって相談に乗ってくれていた理由はただひとつ。被害回復により戻ってきた私の大切なお金を奪い取ることだったのです。
早乙女夢乃
[05]お天気おじさんだった!
言い忘れていたが、離婚後に私が登録したマジメ系出会いサイトは、結婚情報サービス「ノッツェ」が運営するもので、本業の“インターネット簡易版”といったところだろうか。記載の欄には、正会員かどうかもわかるようになっている。それで逼迫度合がわかると言うことかも。
そのサイトで、しょぼい男性からの申し込みを待つよりも、積極的にお気に入りの相手を探そうという方針で検索した結果、ルックスやプロフィールがまずまず素敵な男性を発見。私から申し込んで了解をもらい、晴れてメールから始めましょう!の交際を開始したのだが、その後の顛末は目を覆うものだった…。
1日1回のメールは200文字程度。携帯であれば結構なボリュームだろうが、PCからなら少なめと思われた。文字量はともかく、絵文字連発のメールの内容の半分は毎回、天候のことなのだ。
現代では中年も平気で絵文字を使うらしいが、たまに使うならまだしも、話の大半は天気のことで、それで絵文字だらけとは…とても希薄な内容としか言い様がない。それって、世間話だよね?お互い生態を探り合って、会いたいとか、異性のタイプがどうとか、恋愛を前提としている男女にありがちな話はほぼなく…そういうことに話しが進んでいくものだと思っていた私は愕然としつつ、彼を「お天気おじさん」と命名した。
私のネット求婚活動を知る親友に会うたびに、「お天気おじさん」との進歩の無さを、嘆くというよりも、笑い話にしてしまうほどに昇華してしまったのだ。半ば意地になった私は毎回お天気のことにはあえて触れることにした。それは彼の興味に歩み寄ろうとする親切でもあったし、どこまでお天気ネタでいくのかを見守りたいという好奇心も混在していた。
こんなにも貧困な話題では結婚できないわな、と思いながらも潜在では新たな展開を期待しつつ、結局2ヶ月ほど立った頃、彼は転勤が決まったと言う。縁がなかったと別れを告げ、あえなくおしまい。会うこともなく、ただ世間話をするだけで2ヶ月もときめかせてくれたのだから、肩すかしにしてもありがたい…とは思えませんでした。
本城愛子