[303]日本症候群

パリの精神科医の太田先生が90年代に警告した「パリ症候群」については、こちらの著名な新聞ルモンドでも取り上げられ、TVのルポなんかでも時々話題に上るのでフランス人の間ではちょとは知られていますが、では反対に、フランス人に起こっている「日本症候群」についてはどれだけ知られているのか、また、そんな症状について研究している仏人精神科医がいそうな気もしないでもないが。
私が勝手に命名しているこの「日本症候群」は「日本オタク」とはちょっと違う。ディジョンに居た頃からこの手の人が周囲にいて、パリに来てからは付き合った相手にこれがいて参った。で、それはパリ症候群が女性に多いのに反してこちらは仏人男性に多いのが特徴。共通点は幾つかありパリ症候群のように日本の風景の写真を見ただけでうっとり、涙を浮かべて、「早く帰りたい」とつぶやき有給休暇の殆どを日本で過ごし、パリにいるときは日仏交流のイベントに通い、会社の中ではちょっと「浮いた存在」になっていることも多いよう。

太田先生がパリ症候群の女性について「日本人女性はキスに弱い」と書かれていたが、日本症候群の仏人男性は「日本人女性の男性体験、特に外国人男性との未経験さ」がはまってしまう原因なのかも。私の周囲の「パリ症候群」「日本症候群」の男女はともに、すごく真面目、恥ずかしがりや、オクテというのが共通点。ではこの男女がパリで知り合って上手く行けば事は丸く収まりそうなのですが、そうでないケースも多く。ケースを離脱した男女共に何故かしら現実離れした理想が高い。特に仏人男性の知り合いを見ていると自分とは反対の「ちょっとワルで、行動派で、社公的」な日本人を求めるけど、そういう相手はすでに同じようなタイプの仏人男性と付き合っているか、こちらでの男性経験も豊かになっているから、結局はここのギャップで不成立のようですが。

知り合いの欧州人女性が「日本オタク」と付き合っている。彼は一時は日本人に走ったけど日本人特有の「曖昧さ」に呆れてやっぱり欧州人へと戻ったものの、一度覚えた日本女性のナイーブさが恋しいのか一人で長期休暇を取り日本へ向かった。残された彼女は悶々とする毎日、「どうして私を一緒に誘ってくれなかったのだろう」とパリで涙を浮かべている。私は彼女のような忍耐力がないから、「日本」という言葉に敏感に反応する相手との交際は避けるようにしている。

夢路とみこ

[289]新居獲得奮闘気(3)

やっとホテルから移り入居して2日後に大家さんが訪ねて来た。これから1ヶ月のヴァカンスに行くからと言われ、そして「私の不在中に冷蔵庫が壊れたら、もう古いからね、買い換えて良いからあとで請求書だけ送って下さいね」と言われました。それから3日後、案の定冷蔵庫が壊れた。この冷蔵庫、家のプチキッチンのサイズに合わせているからタイプが古く、ネットで検索してもこれに代わる同じサイズの物が無い。大家さんはすでに旅行中、人の助けを借りてやっと冷蔵庫を見つけ入れ替えたのは2週間後。同居ならこんな苦労ないけどな。
冷蔵庫問題が解決したかと思ったら、注文していた無線ネットのケーブルと器具がまだ届かない。料金の高い携帯電話から何度もプロヴァイダーに請求の電話をすれども「今日送った」とまるで「蕎麦屋」の返事。これまた同居ならきっと同居人が巧みな仏語でやり倒してくれるんだろう。
週末を利用してパリを離れて戻ってきたら部屋の電気が付かないではないか。幸いな事にうちはキャンドルがいっぱいある。以前、ネット新聞で読んだ日本の「キャンドルで夜を過ごすイベント」みたいな記事に触発されたのと、電気代を少しでも浮かせる為にキャンドルをたくさん灯してます。キャンドルの灯りを頼りに電気屋さんに電話をして助けを求める。しかし、電気屋さんに「ブレーカー」とか「ヒューズが飛んでる」と伝えたくてもそんな仏語知らない、暗くて辞書も引けない。管理人さんを引っ張ってきて電話に出てもらい電気屋さんがその後に来たのは午前0時。後で知ったのですが、同じ階の人がその日引越しをして、電気を停めるはずの部屋を間違えて私の部屋を停めてしまったらしい。
ある日映画館の月極め見放題のパスを発行している会社から200ユーロ近い請求書が来た。このパスは数ヶ月前に紛失してすぐ銀行自動引き落としを止めたのに何故?辞書片手に読めど訳せど契約書うんぬんの文面が理解できず。やっと会社同僚に解読してもらい、年間契約だから切れるまでパスを使おうが、紛失しようが請求される、契約が切れた2ヶ月以内に契約打ち切りの文書を提出しないと引き落としは続くと。ひぇ?半年以上も使ってないのにこの請求書に上乗せして満期まで払わなければならない?このフランスの銀行の自動支払い、これまでも何度か問題に遭遇、どうしてこう日本のように簡単に処理出来ないのか悩みます。一人暮らしは大変だ!
夢路とみこ