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[264]休憩時間の一斉付与の適用除外

労働基準法第34条第2項によれば、休憩は一斉に付与しなければならないとしています。

一斉付与とは従業員全員に同時に休憩を与えるということです。交代制にしたり、一人だけずらしたり、ということは認められないということです。昼食をとるための休憩を12時から13時までとした場合、この時間は全員休憩ですからオフィスは空っぽになります。これは管理職(管理監督者)も含まれます。

しかし、それでは業務に差し障りがある、ということで例外を認めています。
一つは労働者との労使協定を結ぶこと。もう一つは、業種によって適用除外を別段の定めができることです。

前者の労使協定は第34条で触れています。

労働基準法第34条

前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

適用除外の業種については同法第40条第1項で『第三十四条の休憩に関する規定について、命令で「別段の定め」をすることができる。』と適用除外の特例を認めています。

「労働時間及び休憩の特例」 【労働基準法 第40条

1.別表第一第一号から第三号まで、第六号及び第七号に掲げる事業以外の事業で、公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるものについては、その必要避くべからざる限度で、第三十二条から第三十二条の五までの労働時間及び第三十四条の休憩に関する規定について、命令で「別段の定め」をすることができる。

その「別段の定め」はどういうのかというと、労働基準法施行規則第31条に休憩の一斉付与の適用除外の項目があります。

・休憩の一斉付与の適用除外

第31条  法別表第一第4号、第8号、第9号、第10号、第11号、第13号及び第14号に掲げる事業並びに官公署の事業(同表に掲げる事業を除く。)については、法第34条第2項の規定は、適用しない。

具体的な適用除外業種は別表にて以下のようになっています。

別表

第1第4号(運輸交通業)、第8号(商業)、第9号(金融・広告業)、第10号(映画・演劇業)、第11号(通信業)、第13号(保健衛生業)、第14号(接客娯楽業)及び官公署の事業
(労働基準法施行規則第31条)

 

これによれば、たとえば業種が「商業」の場合は適用除外業種であるため、一斉に休憩を付与しないという別段の定めができることとなります。
 
このように、休憩の一斉付与は「業種」によって、そして「別段の定め」をすることで、適用除外になります。しかしたとえば小売業や接客業では休憩をずらすことは日常的であり、特に別段の定めをしているところは少ないと思いますが、法律では別段の定めをすることとなっています。
 
休憩を交代制にしたい場合は、まず、自社の業種が適用除外業種であるかどうかを調査します。運送業や小売業であった場合は、定めをすることで休憩を交代制にできます。
 
自社の業種が製造業であった場合は、業種による適用除外にはなりませんので、休憩の交代制を盛り込んだ労使協定を結び、その上で交代制にすることができます。
 
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