〔27〕恋愛考<捏造恋愛?前編>

寒くなってきました。みなさんお身体壊したりしていませんか?私は風邪をひこうが体調が多少悪かろうが、この時期になるとやたらと出歩きたくなります。ミーハーですが、町々のイルミネイションを見て歩くのが大好き。建物全体に飾り付けられた電飾、煌煌と輝く大きなクリマススツリー、そんなものを見ていると、嫌な事も悪い事もひっくるめて、「ああ、なんだかんだ言って今年もいい年だったな」と前向きに振り返ることができる気がします。不思議ですね。“ロマンティックな季節”ということで、今週から前編、後編に分けて「恋愛考」にしたいと思います。

人間には食欲、睡眠欲、性欲、という3つの基本的欲求があり、そのうちの1つでも満たされていないものがあるとバランスがくずれてしまう、という話しを以前医者から聞いたことがある。

睡眠欲、食欲というのはどうにかなりそうだ。でも性欲だけは相手あってのものだから、そうそううまくはいかない。時に一番やっかいな欲になることだってある。

私は常に恋をしていたいと考えるタイプだ。恋をすると相手のことを思いすぎて現実を妄想が交錯する、ひどい時は熱病のようになり、夢うつつのような時間が現実に存在してしまう。実は私はその“一番やっかいな瞬間”というものにエクスタシーを覚える。

今まで私が恋をしてきた人たちはちょっと風変わりな人が多かった。夜な夜なクラブでまわすDJ、美容師、探偵、と、若いくせにどことなく偏屈者で、いまいち実態の知れない人が多かった。

つまり彼らは私の中の妄想をかきたて、エクスタシーを得るに充分な人たちだったのだ。

しかし、そんな私がしばらく前、会社の人に恋をした。

彼の名前は川田君。会社に忠実にバリバリ仕事をこなす、簡単に言えば「できる営業マン」だった。特に“好みのタイプ”というわけではない、今まではごく普通に話すことのできる同僚の一人といった感じだった。

そんなバリバリの彼がある日突然、体調をくずし、会社を2日ほど休んだ。その2日間は非常に空虚に感じられ、仕事をする気も殆どおこらなかった。それから、私は彼にある種の興味を持つようになったというわけだ。

今まであまり経験したことがないケースだっただけに私はとまどいはじめた。彼が会社に出てきてまたバリバリ仕事をこなすようになってから、どうしても目で追ってしまう。彼が通り過ぎるとドキドキする。仕事の上で彼に聞きたいことがあっても、目を合わせ喋っているうちに目がハート型になっていることがバレてしまうだろう、聞けない。そんな風に私はうなされはじめた。

「会社に行く」という今まではうざったかった行為そのものが魅力的になり、どんなに疲れている時にもオシャレに関する努力を厭わない私がいた。仕事も精力的にこなすようになり、今までの私とは明らかに違う私がそこにいたのだ。

恋愛考<捏造恋愛?後編>に続きます

2001.12.14