次の日、男から預かった1万円を手に頼まれ物を買いに行った。軽く請負ったはいいが、人のものを買うというのは神経を使うなぁと改めて思う。とにかく買い物を済ませ、男に渡そうと店に行った。
男に電話をして「頼まれたものを買ってきました。」と言うと、「今ちょっと忙しいから少し待っていてくれ。」と言われ待つことになる。一時間程待っただろうか・・・男が現れると話し始めた。「ありがとうな夢乃。悪いんだけど頼まれついでに俺の家に行ってそれをセットしておいてくれると嬉しいんだけどな。」そんなことを言われた。
私は一瞬躊躇ったが、ここで拒む理由は何も無かったし拒んだら店を追い出されてしまうかもしれない・・・という予感がした。今店を追い出されたら困る・・・暫くはここで働かせてもらいたいし、居心地良く仕事もしたい・・・などといろんな思いが過ぎり、結局男の頼みを引き受けることにした。
私が「いいですよ」と言うと、男はポケットからさりげなく手を出し私の前に差し出した。手の上には男の家の鍵があった。そう、合鍵だ。その鍵を受取り男の家へ行った。
家族でも彼氏でもない男の家に入るのはなんとも不思議な気分だったが、頼まれた仕事をこなすだけと思えば特に問題はなかった。その部屋は、男が言っていた通り何も無く引っ越してきたばかりの香りのする部屋だった。とにかく頼まれた通りに買ったものを広げてセッティングを済ませ鍵を閉めて店に戻った。
男に鍵を返しに行くと、「鍵はそのまま持っていていいよ。」と言った。私は持っている理由がないと思い「いえ、また必要なときがあったらお借りしますのでとりあえずお返しします。」と鍵を返そうとしたが、一向に受け取ろうとしない。「またいろいろ頼むと思うから持っていてくれ。」と男は言う。そんなやりとりが暫く続き、結局私が根負けしてそのまま合鍵を持っていることになった。
・・・そう、賢い読者の方ならもうお分かりであろう。その日からというもの男は何かと私に頼みごとをする様になったのは言うまでも無い。
早乙女夢乃
[09]価格と内訳と返金制度
前回説明した通り、オーネットのサービスは
(1)コンピュータで条件が一致した人の紹介=双方向マッチング提供料
(2)全国版会員情報誌からの検索
(3)各地でのお見合いパーティの開催
(4)各支社へ出向いてコンピュータでのプロフィール検索、取り次ぎを含む
以上の4つからなる。で、私が加入したのはカジュアルプランというプランで、今回はこの内訳について考えてみたい。
まず、(1)?(4)のサービスはセットとしてプラン化されており、どれかだけ利用するということはできない。私が加入したカジュアルプランは入会金3万円を含む合計294,000円で会員期間は2年間。途中で退会もでき、返金もされる。
では、264,000円を月会費に直せば、24割で11,000円かと言えば全くそうではない。内訳としては、(1)の双方向マッチング提供料が1年目に132,000円、活動費が132,000円である。
活動費とは(2)?(4)を利用できる権利と言える。つまり、支払金額は1年間で全額消費されることになるので、1年経って解約したところで返金はない。返金はないが、1年間活動したことを条件に、2年目にはリクエスト方式で24人紹介してくれ、2年目の活動費は0円である。ただし、2年目の活動費免除は2006年4月1日から2007年3月31日の契約者に限りということになっている。
1年未満で晴れて結婚し、退会に至った場合は返金されるわけだが費用内訳のボリュームは最初に厚みがある。1年目の双方向マッチング提供人数は30名、入会から6ヶ月目までは毎月3人紹介で月々13,200円、7?12ヶ月は毎月2名の紹介で月々8,800円。いずれも1人あたりの紹介・取り次ぎ費用は4,400円である。
活動費は最初の4ヶ月が月々24,000円、5?6ヶ月が月々9,000円、7?12ヶ月目が月々3,000円である。半年で退会する場合、1?4ヶ月目の月々計37,200円と5?6ヶ月目の月々計22,200円で合計193,200円は消費されている計算になる。
すなわち、入会金を除く264,000円?193,200円の70,800円が返金されるわけだが、オーネットと出逢った人と結婚する以外の理由で退会する場合、残金の20%か20,000円の低い方が中途解約手数料として引かれて返金される。
出逢って半年といえばかなり電撃結婚になるだろうが、そう簡単に決まるケースは少ないと思われ、返金の期待は抱かぬ方が良さそうである。
本城愛子