[18]悪徳商法

しばらく続いた刺激のない日々に飽きてきた私は、以前から細々と準備を始めていた内職を本格的に始めようと動き始めることにした。
とにかく試験を受けないと仕事が始められない為、私は毎日勉強に勤しんだ。数年前に1本の電話をきっかけに内職仕事の為の勉強を始めるも、何度も何度も試験に失敗していた。だから実のところまだ収入にはなっていなかった。そんな経緯もあり試験直前、「もしも今回も試験が通らなかったら・・・」との不安から違う仕事を同時に探したりもしていた。
そんな私の生活を暫く見ていた男が言った。
「オマエさぁ、オマエがやっている内職ってのは本当にお金になるの?」
その頃本気で内職で生活をしようと考えていた私は、男のそのひと言に「カチン!」ときた。カチンときた私は、仕事を紹介すると言って私が契約した会社についていろいろと調べてみることにした。
会社名で検索、内職で検索、副業で検索、などなど考えられそうなありとあらゆる言葉を入力して、食べることも忘れるくらい夢中で調べ続けた。もちろん「ちゃんと仕事があってお金になる。」という経験談を知りたくてという理由からだ。
しかし・・・結果は散々なものだった。どうやら私は、「内職商法」とやらに騙されていたようだ。
仕事を紹介すると言って、高額の教材を売りつけたあげく、全く仕事を紹介しない。というより仕事を紹介するまでに至らせない。これが「内職商法」だ。
冒頭に書いた私の実体験そのものだ。私は愕然とした。私の人生計画はガタガタと崩れ落ちた。
男なんかに頼らずに生きていこうと思って探した仕事だった。だから男に言われたひと言に「カチン」ときた。その事がきっかけで「内職商法=悪徳商法」に騙されていた事実を知った。
奇しくも男への反発が最悪の現実を知るきっかけとなったことで、私はさらに男を尊敬し頼ることになったのである。
早乙女夢乃