[079]ラルキュビューズ庭園

私が住んでいるアパルトマンは私にとって最高の立地条件が整っています。まず駅まで徒歩10分、勤務先まで徒歩15分、語学学校まで愛用のチャリをかっ飛ばせば20分位というもの。市街のレストラン街やカフェにもそれ程遠くないから少々夜遊びしても歩いて帰れる位に近くて安全。
元メイド部屋だったのを改築したらしく、12畳位のスペースに簡易キッチンと簡易シャワーと簡易洗面所が全て納まっている。機能的だけど、ちと辛い。もう少し家賃を出せば広い二間の所には移れる。経済的にも可能だけど、やっぱりここが好き。私も10代の頃に米軍基地でメイドをしていた時代があり、この部屋にいるとあの頃のファイトと勇気が湧いて来る。
ここが好きな理由は他にもあり。まず、フランス人の割には大家さんが良い人。やれ停電だ、内側からの鍵が開かなくて外に出れない、大事な会議に出席出来ないと電話するとすぐに飛んで来てくれる。それを周辺の日本人の知り合いに言うと「あっぱれ。その大家さん」と言ってくれる。確かにうちの大家はすごい。すごく面倒見が良いので他の日本人の店子の苦労話を聞くと私はラッキーと思う。

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[072]LとRの喜劇

仕事で船内コーディネーターとして乗ると添乗員さんから「とみこさんが乗船してくれると通訳してくれるから助かります。僕は仏語どころか英語すらも殆どだめなんで」と言ってもらえたりもする。海外で就職となると現地言語は当然のことながらビジネス言語の英語は必須。外国語に不慣れな人が聞くと私程度でもベラベラに聞こえるらしい。いやお客様の手前、そう装っている。しかし本当はかなり苦しい。日本人が外国語の発音で苦手とされるのが「LとR」私もその例に漏れることなく苦手。この二つの文字が入ると聞くのも喋るのも混乱。そして喜劇の主人公になることもしばしば。
週末をアルルで過ごすためエイグ・モルト下船の後にニーム乗換えで電車に乗った。車内連絡で「次はArles、アルル」と聞こえたので下車。駅を出たら世界的な観光地の割には随分と干からびている駅と思った。荷物が重くとにかくタクシー乗り場へ。「サン・トロフィーム教会傍まで」と運転手に告げると向こうは?顔。発音悪いから通じてないと思いアルルの地図を見せたら「マダム。これはアルルですよ」と言われた。アルルにいるつもりの私は「だからここに行って」とせっつく。コイツは馬鹿か?という様子で運転手は更に「ここはアレス、AlesでArlesではありません。アルルへ行きたいなら電車に乗りな」と言われ自分のミスにやっと気付いて再び電車の3時間待ち。

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