〔2〕正社員から派遣へ

私はハタチから約4年間正社員として働いていた。その間は仕事に関してこれといった夢や希望もなく、ただ目の前にある仕事をもくもくとこなすだけの日々を送っていたわけだ。

何故「派遣」という道を選んだのか今になるとあまりよく思い出せないのは、きっと決定的な決め手がなかったからだと思う。

典型的なB型でもともと飽きっぽい私は日々繰り返される型にはまった仕事にうんざりしていたのかもしれない。取引先の接待に「若手の女子社員」としてお酌するだめだけに借り出されたり、社内の旅行や会合でせっせと下働きすることに疲れていたのかもしれない。そこには常に「なんで私が」という悲観的な気持ちが渦巻いていた。

実際、派遣やフリーターという道を選ぶ人の多くがそうであるように、私も「自由な時間が欲しい」「人間関係の面倒なしがらみから逃れたい」などといういくつかの理由から正社員をやめた。「じゃ、どうしようかな。遊んでるわけにもいかないし。」ということで一番てっとり早かったのが、“派遣”だったというわけだ。

「登録だけすれば、仕事を探してくれるのかー。しかも時給もいい。」私はスッカリ上機嫌になり、いくつか大手の派遣会社に登録した。「こういう仕事がしたい」という希望を出しておけば、今までの業務経験を考慮して、それに見合った職場を探してくれる。こんな楽な就職方法は他にないではないか!

しかし、簡単に手に入れられる物には必ず落とし穴がある。楽をした後にはその分苦もある。派遣歴5年。1年に1社というペースで様々な会社を渡ってきたが、今現在契約している会社は「まるで今まで楽したツケが回ってきたのではないか」と思うくらい、忙しく、業務内容が煩雑だ。

通常、派遣で長期的な契約の場合は3カ月更新(つまり、3カ月で「合わない」と思えばそこで契約を終了して辞めることが可能)なので、何か問題にぶつかる度に「辞めちゃおう」と考えてもきたが、何度も思い続けて早1年半が経ってしまった。

私の心の奥にある「私がこの会社を変えてやろう」という熱い思いが私をこうして留まらせているのか、「30になっちゃったから、他探すの面倒だしな。」という思いが心の底にあるからなのか、自分でもわからない。きっとこんな風に書きながら分かってくることもあるんじゃないかな。

来週は、失敗しないための「派遣会社選び」、そして再来週は、つい最近会社で起こった「マイッた出来事」について書いてみようと思ってます。お楽しみに。

2001.06.21

〔1〕しじみの由来

はじめまして。この度たまごやさんのプロデュースにより当メルマガを発行させていただくことになりました山口しじみです。派遣スタッフを続けて早4年。今年30になってしまった私がこの世知辛い世の中で、関わってしまったとんでもない出来事(笑)、それによって感じたこと、30になって初めて学んだこと、等、たまには私が気になってるトレンドなども含めご紹介していけたらいいなと思ってます。

さて、ところで何故「しじみ」などというよくわからないへんちくりんな名前をつけたのでしょうか。皆さんはしじみという蝶をご存知ですか?図鑑を開くと色々な種類がありますが、私が小さい頃、自宅裏の空き地で見たしじみは、茶色の小さな蝶でした。

当時、しじみの数は大変多く、子供たちは虫取りといえばアゲハ蝶やモンシロ蝶など、珍しい蝶を追いかけていました。しじみを採って喜んでいる子供を見た事はありません。一見蛾に近い色をした地味な蝶だったからだと思います。でも、何故か私はそんなしじみが好きでした。

一度だけしじみを捕まえたことがあります。羽を持った指には、実際目に写る羽の色とは明らかに違う、どこか金粉がかった不思議な色の粉がついてました。夕暮れ時でした。私はその時、ふと見てはいけないものを見てしまったような、不思議な感覚にとらわれたのを覚えています。シジミは派手なアゲハ蝶やかわいいモンシロ蝶とは、どこか違う何かをもっている気がしました。

夕暮れ時だったから、おセンチな気分になってそう感じたのでしょうか。それとも、その時、シジミはもしかして私に何かを教えてくれようとしてたのでしょうか。私は今でもあの時自分が感じた「何か」がわからないでいます。

私の住む東京の下町も都市開発が進んだせいか、しじみをみかけることは全くなくなってしまいました。あの頃しじみを見ていた私は何を考え、どこにすすもうと思っていたのか、今、30になってしまった私はこれから一体何を求めていけばいいのか、そんな漠然としたことを知りたくて、あの頃の私に「何か」をちらっと見せてくれたしじみの力を借りようと思ったのです。
何も考えず30になり、だらだらと10年間OL生活を続けてきてしまいました。そんな私ですから、至らない点など多々あると思います。そんな時はアドバイス、お叱りのことば等をいただける嬉しく思います。

そして皆さんと日常的なことをどんなことでも話しあっていけたら、それが私にとっても読者の皆さんにとっても、生きていくことへのヒントになることができたら、私にとってこんな嬉しいことはありません。

稚拙な文章でご迷惑かけてしまうことも多々あると思いますが、どうか末永くお付き合いお願い致します。

2001.06.14