[33]季節の虫たち

2019年3月21日

第33回
■季節の虫たち
蝉やトンボが姿を消した頃、今度は虫たちの世界です。季節は秋になりました。
姿は見えませんが「こおろぎ」や「鈴虫」、「キリギリス」や「クツワムシ」の「がちゃがちゃ」等の競演です。
庭先に縁台を出して、浴衣を着た「おねえちゃん」が、団扇を持って夕涼みをしている姿・・・そして虫の音を聞いている、なんて云うのはすごい風情のある情景ですね。
子供達も沢山いる虫たちをあまり捕まえません。捕まえることは簡単に出来るのですが、捕まえた後の世話が大変なんです。餌は大抵キュウリか瓜くらいですが、沢山駕籠に入れて置くと次の朝には大抵が「共食い」してしまうんです。死んではいませんが、足がなかったり、羽がなかったりして気持ちが悪くなりますので、殆ど捕まえることはしません。やはり自然の中で虫たちの奏でる音を聞くのが最高です。
でも虫好きの子供達は「鈴虫」を飼育することです。成虫の「鈴虫」は真っ黒な1cmくらいの小さな物ですが、これの卵からかえすのが楽しみなんです。小さな石で囲った器の中に土を入れて「鈴虫の卵」を育てるのです、温度とか湿度だとか難しいらしいのですが、真っ白な小さな卵がかえるのを楽しみにして一生懸命にしている友達がいました。此の虫は成虫になると、人前でも羽を振るわせて「リーンリーン」と綺麗な声で鳴きます。子供達も育てるためにはしっかりと勉強しなければならないのです。
夜、こう云う文を書いていると、何処かで「スィッチョン、スィッチョン」と鳴いているのが聞こえるような錯覚を覚えますが、聞こえるのは何かの騒音だけです。
又少し離れた所には何処にでも小さな小川があって、綺麗な水が流れていて、その側の茂みの中に「蛍」がチカチカと光を発しながら飛んでいる姿も見えました。すっかり暗くなった夜です。
ひときわ大きいのは「源氏蛍」です。「蛍」が群れをなして光りながら飛んでいるのを見ると、心も和むし、情緒ある風情ですねぇ。こんなに和ましてくれる「蛍」を大人も子供も捕まえようとはしません。
《虫売りのおじさん》
此の虫たちを売って歩くおじさんもいました。大きなリヤカーに屋形を積んで、大小様々な虫籠を沢山吊して、行商しているのです。小さな駕籠には大抵1匹しか入っていません。先程も云ったように共食いするからです。
大抵駕籠の中で鳴いている虫は「鈴虫」だったようで、おじさんが声を掛けなくても虫の声で家の中にいても、来たことは分かるんです。どんな虫たちが居たのかは分かりませんが、竹細工で作った虫籠は見事の出来映えでした。12?3cmくらいの小さなものでしたが、売っている虫も鳴くものが多かったような気がします。ですから「カブトムシ」や「クワガタ」なんて云う虫は売っては居なかったようです。此の「虫売り」も夏から秋口にしか見られない風物詩でしたね。
qrcode10000564.gif
キリギリス(雄雌ペア)
楽天で「キリギリス」を探す