[44]子供時代の趣味2.写真・カメラ(3)

2019年3月21日

第44回
■子供時代の趣味2.写真・カメラ(3)
《夢中で読んだ写真雑誌》
写真雑誌の名前は思い出せませんが、何しろ厚さが2cmもある雑誌でした。中を見ると殆どドイツの高級カメラの広告ばかりで、国産のカメラは殆ど載っていません。(1936年)昭和11年の頃です。この頃は世界のカメラ業界は殆どドイツの製品で埋まっていました。ドイツのカメラの模倣が殆どで国産のカメラはドイツのカメラの真似でしかありませんでした。
特にドイツ「ツァイスイコン社」の「テッサー」と云うレンズの解像力の素晴らしさは、他を圧倒していたようで、何処の國のメーカーもこれを目標に研究したようです。でもたった4枚構成の此のレンズに太刀打ちは出来なかった様です。名もない国産のカメラのレンズはこれに似たような名前を付けて売っていましたが、写した結果は問題にならない程悪かったです。
この頃の写真雑誌の記事も広告もすべてドイツのカメラの記事と広告でした。記憶辿って書いて見ますと、ドイツドレスデンに本拠地だったものが主です。まずツアイスイコン社の「コンタックス」「コンテッサ」「スーパーシックス」「スーパーイコンタ」「スーパーセミイコンタ」「コンタフレックス」等です。又ライツ社から「ライカ」シリーズ、ローライ社から「ローライコード」「ローライフレックス」等が代表選手だったでしょう。
以上のうち映画用の35ミリフィルムを使える様にした「ライカ」「コンタックス」「コンテッサ」が小型カメラで36枚と云う数の写真を撮ることが出来たので大人気と成ったようです。その他のカメラは裏紙の付いたロールフィルムでブローニー版8枚撮り、セミ版16枚撮り、6X6版12枚撮りの三種類でした。その他にはベストフイルムがありましたが、前述した六桜社の「パーレット」等がそうでした。
レンズは「コンタックス」が「ゾナー」、「ライカ」が「エルマー」で競っていたようです。その他は「テッサー」が主流でした。涎が出るほど欲しかったカメラでしたが、値段を見てビックリです。「ライカ」「コンタックス」は1000円以上。「イコンタ」の様なスプリングカメラでも700円以上。「コンタフレックス」など2200円もしたんです。その頃の土地付き住宅が1000円位で買えた時代です。2200円なんて云う値段だったら200坪も付いた豪邸が買えましたよ。
小学生のガキが到底出るような場面ではありませんでした。ですから写真誌を見るだけで終わりです。夢のカメラは夢では終わらせたくないと云う思いはありました。
それから70年、1936年代に発売されていた上記のカメラを全部手に入れました。勿論新品ではありませんが、さすがに名器ですね・・・まだしっかりと動いているし、ちゃんと写るんです。
今市場に出ている「コンタックス」は昔「ヤシカ」が「京セラ」と合併して作っている物ですから、昔のドイツの「コンタックス」とは関係ありません。又、ついでに書いて置きますが当時今の「キャノン」がライカ型のカメラ「KANNON」(かんのん)カメラを世に出した頃だと思いますね。国産カメラは70?80円位で買えた時代ですが、それでも子供には手が出ませんでしたから諦めです。
当時は風景写真を写しても、フイルムが悪いのか、カメラが悪かったのか分かりませんが、フィルターを付けても空の「雲」が写りませんでしたが、友達から借りたドイツアグファー社の「ベス単」カメラで撮ったところ、雲の状態がモクモクとすごく良く出ていましたので驚いたことがありました。
終戦を契機にドイツは東西に分割されてしまいましたが「ツアイスイコン社」その他のカメラメーカーは殆ど東ドイツにあったらしく、衰微してしまいましたが、それからは日本のメーカー、特に「ニコン」とか「キャノン」等が世界を席捲するようになりました。

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