[61]プールと水泳
第61回
■プールと水泳
近隣の小学校には殆どプールはありませんでしたが、此の明化小学校にはプールがありました。だけど此のプールを使えるのは四年生より上ではなかったかと思います。
此のプールは幅8m 長さ25m で深さは深いところで1m50、浅い所で1mの本格的のものでした。飛び込み台はありません。
水泳部に入部すれば誰でも入れます。先ず全然泳げない者は水泳帽子の色が真っ赤で、幅の8mが泳げる者は真っ白です。ですから一目で分かります。私は水泳には自信がありましたので最初から白帽でした。
水泳の先生がメガホンで水泳部の全員に準備運動をさせます。そして「赤帽入れ」と云うと、一斉に「赤帽」が入りますが、泳げませんので水の中でバタバタしているだけです。「あがれ」の号令でみんなプールの淵へ上がります。そして今度は「白帽入れ」の号令で、今度は少し泳げる者ですから飛び込みます。
こう云うことを繰り返しているうちに段々と生徒は水に慣れてきて少しづつ泳げるように成るようです。
そして夏休みの終わる八月の終わり頃、此の水泳の「検定試験」があります。「赤帽」の生徒が横幅の8mを足を付かないで泳げれば、この次からは「白帽」になります。
この時代は水泳には「級」がありました。プールをどんな泳ぎ方でも良いから25m泳いたら「六級」をくれるんです。「六級」は最低の級です。「六級」は白帽に黒い線が一本入るんです。これが欲しくて仕方がありませんでしたので「よし、頑張るぞ」の意気込みで挑戦しました。
そして何とか無事に25mを泳ぎ切ったのです。そして待望の黒線の一本入った水泳帽を貰ったんです。この時の喜びは今でも忘れません。
そして翌年六年生で最後の夏です。当然水泳部にいました。そして最後の検定の日です。今度は25mのプールを往復、50mを泳げば「五級」に進めるんです。「五級」は「白帽」に黒線が二本入るんです。学校最後の水泳で、級は公式のものですから何としても取るつもりで頑張りました。何の泳ぎか分かりませんでしたが、兎に角初めて50mを泳ぎきりました。周りで見ていた人達が拍手してくれたことも良く覚えています。
もう此の学校ではこれで最後ですから、これ以上は望めませんが、上の学校に行ったら「四級」を狙おうと思いました。もし「四級」に成れば「白帽」に「赤線一本」が入るのですから。
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