[115]熊と戦ったシロのお話
第115回
■主人のために命を落とした名犬たち?熊と戦ったシロのお話?
これは北海道のある猟師が飼っていた「シロ」と云う名の日本犬のお話です。
此の犬は全身が白で日本犬らしいのですが種類はハッキリとは分かりませんが、北海道であったので「北海道犬」であったかも知れません。此の「シロ」と云う名の犬は、此の猟師の猟の時にはいつも付いて行ったのです。
いつものように山に入って猟師が鉄砲で狩りをして、獲物を捕れば「シロ」はその獲物を銜えて主人に持ってくると云う役目でした。
ある日猟をしている時、突然大きな熊に出くわしました。すると此の熊は立ち上がって猟師に襲いかかって来たのです。体長は2メートルも超える大きな熊でした。びっくりした猟師は銃を撃つ暇もなく、突き飛ばされて襲われて来ました。
それを見た「シロ」は自分の何倍もある大きな熊に敢然と向かって行きました。到底かなう相手ではありませんから、何回も飛ばされてしまいます。だけど「シロ」は負けていません。何とか喉元に飛びつこうとしました。熊の爪は鋭く「シロ」は見る見る引き裂かれて血だらけになりました。でも振り回されても一旦食らいついた喉元を放すことはなかったのです。でもしまいには躰がズタズタに切り裂かれて放り出されてしまいました。
すると此の大熊も諦めたのかすごすごと帰って行きました。
猟師は倒れたまま呆然とその有様を見ていましたが、気が付いて愛犬の「シロ」のソバに行った時は「シロ」は既に息が絶えて居ました。猟師は此の「シロ」が居なかったら自分の命はなかったと思ったと云います。