●デ・トマソ パンテーラ
アレッサンドロ・デ・トマソ氏はアルゼンチンのレーシングドライバー。引退したあとはイタリアのモデナに永住の場所を求めたが、彼はその地でイタリアンライクな、しかも安価なスーパーカーを作った。それがデトマソパンテーラである。
ギアデザインのエキゾチックな2シーターミッドシップボディに載せるエンジンはUSフォードのV8OHVエンジン。いくらなんでも、OHVじゃ・・とお思いでしょうが、これが実に扱いやすい。アメリカンビッグ8は壊れないし、トルクはバカみたいにあるし、大排気量に物言わせて豪快に走る、紛れも無いイタリアンスーパーカーなのだ。
イタリアンなボディにアメリカンV8を乗せるというのは、凄いアイデアだが、これはスーパーカーがあまりにも高価だった事に対するデトマソ氏の挑戦でもある。当時のパンテーラは1480万円するがそれでもフェラーリやランボルギーニの半額である。
安くて、扱いやすくてカッコイイパンテーラは、よく売れたが、世間にはフェラーリやランボルギーニを真のスーパーカーとする風潮があり、侮蔑の目で見られることも多かった。しかし、デトマソ氏は他のドービルやロンシャンなどにも共通するが決して手は抜いていない。自分で納得したものしか作らない結構頑固オヤジなのである。
ドービルやロンシャンも同じくアメリカンV8エンジンを積むが、それらのクルマはベンツをターゲットとしており、走りの性能も決して見劣りするものではない。本物を安く提供する、これがデトマソの真髄でもある。
注:ギア=デザイナーの名前(GHIA)
OHV=オーバーヘッドバルブの略。形式としては旧型。高回転が苦手。
デトマソ氏が勝手気ままに作ったスーパーカー。エンジンはUSフォードのV8・5.8Lをミッドシップにマウントし、270PSから330PSまで選べる。最高速度は280km/h。
スタイリングは独立時代のギアが担当。エキゾチックなたたずまいはまさしくスーパーカーであるがエンジンがUSモノであるため、スーパーカーに入れてもらえない悲しみを背負っていた
SPEC:
全長4270x全幅1970x全高1100mm
ホイールベース2510mm
エンジン:V8OHV5763cc
最高出力270ps
最高速:280km/h
価格:1480万円(1986年)
デトマソロンシャン
こちらはデトマソのロンシャン。パンテーラと同じエンジンを搭載するGTカーに仕上がっている。4ドア版のドービルも同じユニットを搭載。
ダイハツシャレードデトマソターボ
こちらはダイハツシャレードデトマソターボ。1984年1月に投入。ダイハツはイタリアイノチェンティ社に1981年より1リッターのエンジンを提供しており、こういった関係からデトマソ氏の手によりドレスアップされたもの。ファッション的な要素が強く、デトマソといっても動力性能は普通のターボと変わりない。
2000.07.03