ポルシェ911ターボ
PORSCHE 911turbo
1986年式ポルシェ911ターボ
●ポルシェ911ターボ
ポルシェ911の2Lモデルが登場したのは1963年のこと。以来37年にもなるがいまだに同じRR(リアエンジンリアドライブ)のレイアウトを頑固に守っているその姿勢は、まさに伝統といえるものだろう。ポルシェがこのレイアウトにこだわるのにはワケがある。
クルマというものは、駆動を与える車輪と、方向をコントロールする車輪は別々にすべきだという理論、というより哲学に近いものをポルシェは持っている。方向をコントロールのは前輪。駆動を与えるのは後輪というわけだ。これがすべての始まり。ではエンジンはどうしたらいいか。重量のあるエンジンは前にあってはいけない。後輪の上にもってくれば後輪のトラクションが増して好都合。でRRというレイアウトになった。
エンジンを後ろに積むにはスペース的に辛い。ということでコンパクトで軽量なエンジンを設計する。冷却方式は大きく重たいウォータージャケットを持たない空冷になった。ピストンが交互に収まり、高さを低くできる水平対向エンジンが開発された。すべてこのような理詰めで作られたクルマ、それが911だ。理念が明確である。だからこそいまだに現役でいられるのだろう。
ポルシェ911ターボはポルシェ初のターボモデルとして1974年パリサロンでデビュー。当初はエンジンの排気量が3Lであり930ターボとして発表された。その後1978年に3.3Lとなり1980年には911ターボと名称変更されている。ターボという名を世界中に知らしめたエポックメイキングなクルマである。
強大なパワーを路面に伝えるために205/50%の扁平タイヤが採用されそのために大きなオーバーフェンダーが装備されているのが外観上の特徴。ピーキーなエンジンは扱いやすいという表現には程遠く、しかしポルシェ初のターボということで世界中で売れに売れたクルマでもある。このクルマのノウハウはその後の名車959に引き継がれ、現在のニュー911にも生かされいるのである。
性能はまさしくスーパーカーではあるが、スーパーカーと呼ぶには違和感がある。ポルシェならではの機能美、存在感、実用性がスーパーカーの名を拒否するのであろう。
「フェラーリ?あれはおもちゃさ。ポルシェはあくまでも大人のツール。いっしょにしないでくれ」
そう言いたげなポルシェである。
1976年式930ターボ。デビュー当時は930ターボとして売り出され、1978年にエンジンが3.3Lとなって1980年911ターボと名称変更された。
RUF(ルーフ)によるチューニングポルシェ
こちらはRUF(ルーフ)によるチューニングポルシェ。911ターボをベースにエンジンを3.3Lから375PSを絞り出す。特別仕様の5速ミッションを装備し最高速度は280km/hを超える。(1986年)
Profile:
1974年ポルシェ初のターボモデルとして発表。1986年の価格は1860万円。
SPEC:
全長4291x全幅1775x全高1320mm
ホイールベース2272mm
車重1140kg
定員4名
駆動方式RR
エンジン:水平対向6気筒OHCターボ
最高出力260ps/35kg.m
サスペンション前ストラット後マルチリンク
ブレーキFRベンチレーテッドディスク
2000.07.19