本紹介書を見て気に入った彼からは連絡が来ない。その間に私の情報は全国版の情報誌に載り、全国各地から、下は20代前半(なぜに?!)から上は50代後半まで実に多くの人から申込の紹介状を受け取った。
捨てる神あれば拾う神あるとはよくいったもので、離婚歴のある子持ち女でもそれなりに需要はあるようだ。しかしながら、生身の人間として愛せるか、という大きな問題が立ちはだかっている。また、私には慣れ親しんだ居住地があり、近くには家族がおり、実は趣味にも似た大好きな仕事がある。
自由で結構のんきな生活を営んでいるのが実状で、これらを捨てて、どこか他の地で暮らそうと思うためには並々ならぬ愛が必要だ。今の生活を捨てて愛を注ぎ合える相手かどうか、と自問する日々。こうして相手の居住地を限定することが再婚を縁遠くしているのかもしれないのだが・・・。お見合いパーティで話した転勤族の男性も言っていたが、県外はNGという女性は多いらしい。
そして、ついに意中の彼から連絡が入ったのだ。一度会おうということになり、会ったところ、会話も気持ちも結構盛り上がった。相手の感触もまずまず良い。数回の電話の後、二度目に会ったときに「交際しよう」と言われたのだ。
気持ち舞い上がっていたが、この時点ではまだスタート地点である。他の候補者をキープしておいて、平行して会って検討するという人も多いらしいが、私はすべての紹介状をお断りにして返却した。二兎を追う者は一兎をも得ずというではないか。
実は気になる候補者もいたが、的を絞るというのが私の方針である。いっそのことオーネットをやめてしまおうかとも思ったのだが、この件を身内に相談すると、「滑り止めも受けずに東大受験するみたい。偏差値足りてる?」みたいに言われたので、さすがに退会までには至らなかった。で、彼とはどうなる?!
本城愛子