[11]システムの盲点とは?

データでマッチした人を毎月紹介され、パーティも開催され、入会しておよそ3ヶ月後には、全国版の会員誌に載る。ちなみに私はこの情報誌に載った後、全国各地から三十通以上の申込が来た。また、自分も誰かに紹介されているわけだから、次々に出逢いのチャンスがある。そして、紹介状で気に入って、申込を受けるとお互いに連絡を取り合って会うことが可能となる。
とりあえず会ってみなくてはわからないと思って申込を受けまくる人、逆に紹介状を吟味して、意を決して会う人との間には自ずと意識に差がでてくるだろう。また、同時に複数人の申込を受領することも可能だから、どこまでを恋愛関係と呼ぶかは別として、多重恋愛が横行できるシステムと言える。
実際、このような意識の温度差で、突然、他の人と交際することにしました、と言って断られた事例(会員誌の投稿より)もあるわけで、システムを考えると何ら不思議ではない。要は複数人の異性と同時に会った上で、比較検討されていたわけだ。さらに言えば、結婚したい人が集うわけだから、結婚詐欺師にとっては確実なカモ、またナンパ師にとっても手っ取り早く恋愛に持ち込める確率の高い相手の集いと言えよう。
恐ろしいのは、詐欺師やナンパ師でなくとも、結婚したいがために、あるいはよりよい相手と巡り会う可能性を求めて、あっちがだめならこっちをキープという、不埒な心が芽生えるシステムである、という点だ。
私の場合、案外曲がったことが嫌いであり、複数の交際を受けるなど器用なことはできず、またあちこちと会う暇も気力もないため、紹介状を吟味した上で、これまで3名の男性と会ってみた。そのいきさつは次回に。
本城愛子