バツイチの語学堪能で清楚な女性がいいました。
「男なんて本当に別れてしまえば、なんてことないですよ。使い終わったトイレットペーパーくらい要らないものです」
我が耳を疑った私です。
先ほどまで男女の泥沼で泣いていた私の連れ(女性)も、ぴたりと泣くのをやめてしまいました。
これほど露骨にいい得ている言葉は無いかもしれない・・・美しい女性の口から出た言葉は説得力ありました。
そういいきれるために。
まずはこれまでの経過記録を完璧に準備することです。
記録だけが今後を助けてくれます。
離婚の調停というのがあります。
家庭裁判所に出頭し、調停員を仲介にして離婚への条件を出し合っていきます。
これで折り合えば無事に離婚の成立となります。
一見公平そうなこの機関ですが、私の場合とんでもない調停員にあたりました。
元銀行員の男が調停員の一人でした。
有識者でもなんでもない金融上がりの彼は
「別れたこどもへの養育費の支払いは男としてむなしい」
「別れたいのは本人の希望だから、何を要求するんだ」
これをくりかえし、私が話し始めると遮ってずっと相手の要求を話します。
身に付いた職業柄か、金は出さないぞ、という姿勢がありあり。
これほどひどい例ばかりではないと思いますが、まあ、甘い期待は持たない方がいいかもしれません。
これまでの金銭の流れ、暴力などをプリントアウトしたものを提出したところ、その件についてはしぶしぶ受け入れました。
また、相手も資料を前に嘘はつけなくなりました。
口べたの私ですが、思いました。
雄弁より資料、事実なんだって。
それでも調停が終わると毎回うんざりしてしまいました。
忘れようとしている古傷がえぐられたようで、辛いのです。
惨めな顔で家に帰るのも嫌でした。
で、必ずこの日だけは贅沢を自分に許しました。
ホテルでケーキを食べて帰る。
美しいお皿に飾られた季節のケーキ。
ずっと苦しんで来た私にはその甘さは優しかった。
アンチウエディングケーキと心で呼んでました。
苦しむだけじゃ駄目、人間は甘くあたたかで柔らかなものが必要なのですね。
一緒に頑張りましょうね。
汐野 流