[069]ラパンアジル

パリのナイトライフで私が気に入っているのはシャンソニエ。モンマルトルにあるラパンアジルはかつてエディット・ピアフやイヴ・モンタンが出演し、エリック・サティが常連だったという。ユトリロや作品の多くにこの店やその界隈を残したと言えばこの店がいかに由緒んもある店かお分かり頂けるでしょうか。
この店に魅せられる理由のひとつに出演歌手の歌うシャンソンがナツメロからオリジナル曲に至るまで全て感動的である事。集まる客層が観光客のみならずパリの人達もいて本当に大人の社交場、パリに来たと言う感じがします。
店内は照明が暗く落されアップライトピアノが古き良き時代を思わせます。壁にはユトリロを始めロートレックが描いたアリスタッド・ブリュアンの絵やレトロな写真で溢れています。営業時間は午後9時から午前2時まで。途中の12時半頃から約2,30分のスタンダップコメディー(漫才)が入ります。仏語と仏語のジョークが分からないととても眠い時間です。それ以外は専属歌手の人達が入れ替わりにアコーディオンやギター、指まで楽器にして素晴らしい歌声を披露してくれます。


私が大好きな大御所歌手はいつもオオトリの時間。大体1時半過ぎに出演です。彼女の歌声は言葉では表現出来ない位の美声です。とにかく聞いてみて下さいという感じです。歌う曲もオリジナルのものばかり。
ラパンの歌手の皆さんはそれぞれCDやテープを出していて、店内で帰る時に購入出来ます。私の好きな大御所歌手の美声もすごいことながら彼女のCDを宣伝するその文句もすごい。いつも同じ台詞で同じタイミングで。。。。。。
ラパンの入場料の中にはワンドリンクが入っています。最初のドリンクは店のオリジナルカクテルです。点何は人が混んでいて熱気があります。お客さんも一緒になってハミングしたり歌ったり、60年代に新宿で流行った歌声喫茶はたぶんこんな雰囲気だったのでしょう。新宿3丁目に私が好きだったシャンソン喫茶があります。フランスに来る前にときどき通いました。パリの美しさを美しい日本語訳のシャンソンで楽しんだものです。そして今、パリでパリの躍動美をフランス語のシャンソンで味わうとき、やっぱりシャンソンが大好きと確認します。
ちなみにこの店の近くにはモンマルトルの名物階段があります。アメリー・プーランになった気分で散歩してみてはいかがでしょうか。
ラパンアジル: http://www.au-lapin-agile.com
夢路とみこ