[071]クレイジーな夜

パリ、シャンゼリゼ界隈のジョルジュ・サンク通りにあるストリップティーズの店と言ったらそれが只のストリップ小屋ではないという事を想像していただけるでしょうか。そこはシャンパンと葉巻、カクテルドレスのご婦人達も観覧に来る歴とした大人の社交場、クレイジーホース。
フランスでは毎年大晦日の夜、クレイジーホースのショーがテレビで放映されます。私はそれを観ながら新年を迎えます。まるで行く年来る年のよう。でもセクシーなストリップとは、いやはやナンともフランスらしい行く年来る年かな。
いつもTVで観ながらも一度はパリで、ライブでこのショーを観たいというのがかつてからの私の強い希望でした。そこがとてもファッショナブルな場所で女性や観光客も多いとは知りながらもやはり女ひとりで行くのにはためらいとはじらいが。最近になりここもムーランやリドのようなディナーとショーがパックになった観光ツアーが出ました。一人からでも参加OKというのに勇気付けられて申し込みました。


この店はあくまでもストリップなのでディナーを食べながらの観覧という訳には行きません。お食事はすぐ近くにあるお洒落で高級なブラッスリーにて。食後にクレイジーへ行き、シャンパンを飲みながら約90分のショーを楽しむというもの。
最近の世界情勢のためパリもぐっと観光客が少なく、この業界の仕事をする私にも痛手なのですが人ごみの少ないパリにホッとしたものの、このツアーに参加したのは私だけだったとミニバスに乗ってから気付いてギョっとした。食事を終えてクレイジーに向かうと、入り口では赤いマントを着たジェントルマンがゴージャスな装いの客を店内に案内。ゴージャスでない私が案内された観客席は「いやー、確かに一人だけどこの席は勘弁してよぉ」と泣きたくなった。ステージ中央の前から2列目、眺めは抜群。でも周囲は男性客ばかり。女性客はどこじゃー!と辺りを見回したらステージよりかなり遠いところのテーブル席でみーんな男性同伴で座ってる。一人で来た私は男性と同じ扱い?
でもショーには感動しました。度肝を抜かれたのは、ダンサーの体つきがみんな同じ。背丈はもちろんのことおっぱいやお尻の形までほぼ同じ。これだけの大勢のダンサーをまるでクローン生産したかのように集められるとはさすがクレイジーホース、ただのストリップ小屋じゃない。やっぱりパリに来たら一度は足を踏み入れてみるべし、クレイジーホース。
夢路とみこ