[228]パリでごはん(5)

添乗の仕事でシャンゼリゼ辺りを案内することが良くあります。買い物やウィンドーショッピングには快適なシャンゼリゼでも、食事をするとなると探すのが大変。第一に観光客向けの店と相場が決まっているから値段が高い、高いからと言って美味しいということにはならない。また日本人の胃袋に丁度良い量というのも考えなければならない、となると、「あーあ、どうしてシャンゼリゼでご飯なのよ」と泣きたくなることもある。それでもシャンゼリゼは特別な場所なのですよ。
シャンゼリゼに幾つかある素敵なブラッスリーのひとつ、「フーケッツ」は外からみても私が住むアレジアのブラッスリーとは格が数段違うからどうも入りにくいと思ってました。しかし、ある日、迷った末にここへ入ってみました。案内したのはアメリカからの観光客。一般的に味オンチに言われるアメリカ人ですが、この方は職業柄世界中を飛び回っていて世界のグルメを知っているから妥協は許せない、でも、私が迷ったから半分妥協を許してもらいこの店に入った。メニューを見たら、普通のブラッスリーよりも品数が少ない。「えーこんな高級ブラッスリーなのに、これだけ?」と思いながらも、ローストチキンを注文、付け合せはフライドポテト。
食べながら二人して、「妥協ってのはひどすぎたよね、この店、いけるじゃん」と。ローストチキンとフライドポテト、いかにも簡単そうな料理だけれども、素材が違う。ローストするとぱさぱさし易いチキンだけど、ここのこれはしっとりしていて、上質なチキンを使っていることが伺われる。肉汁にも甘味さえも感じられ、脂っこさがあまりない。一緒に注文したシャルドネに合わせたら、口の中でハミングが聞こえそうな相性のよさ。フライドポテトにしてみても、私はポテトはマックが世界一美味しいと思っている。学生時代からキッチンでバイトしていたから、簡単な料理にはちとうるさい。シンプルな料理だからこそ腕の良し悪しが出るんだと思う。マック以外のポテトは「さようなら」のはずの私でもこの店のポテトは「高級マックだ」と思う。品数は少ないけれど、その分、一つ一つの料理、簡単な料理にも手抜きをしない、それが100年も経営しているこの店のすごいところなんでしょう。
パリ観光局のサイト
http://jp.parisinfo.com/partners3.html
この中にフーケッツ・バリエールでこのお店紹介されています

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夢路とみこ
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