やっとホテルから移り入居して2日後に大家さんが訪ねて来た。これから1ヶ月のヴァカンスに行くからと言われ、そして「私の不在中に冷蔵庫が壊れたら、もう古いからね、買い換えて良いからあとで請求書だけ送って下さいね」と言われました。それから3日後、案の定冷蔵庫が壊れた。この冷蔵庫、家のプチキッチンのサイズに合わせているからタイプが古く、ネットで検索してもこれに代わる同じサイズの物が無い。大家さんはすでに旅行中、人の助けを借りてやっと冷蔵庫を見つけ入れ替えたのは2週間後。同居ならこんな苦労ないけどな。
冷蔵庫問題が解決したかと思ったら、注文していた無線ネットのケーブルと器具がまだ届かない。料金の高い携帯電話から何度もプロヴァイダーに請求の電話をすれども「今日送った」とまるで「蕎麦屋」の返事。これまた同居ならきっと同居人が巧みな仏語でやり倒してくれるんだろう。
週末を利用してパリを離れて戻ってきたら部屋の電気が付かないではないか。幸いな事にうちはキャンドルがいっぱいある。以前、ネット新聞で読んだ日本の「キャンドルで夜を過ごすイベント」みたいな記事に触発されたのと、電気代を少しでも浮かせる為にキャンドルをたくさん灯してます。キャンドルの灯りを頼りに電気屋さんに電話をして助けを求める。しかし、電気屋さんに「ブレーカー」とか「ヒューズが飛んでる」と伝えたくてもそんな仏語知らない、暗くて辞書も引けない。管理人さんを引っ張ってきて電話に出てもらい電気屋さんがその後に来たのは午前0時。後で知ったのですが、同じ階の人がその日引越しをして、電気を停めるはずの部屋を間違えて私の部屋を停めてしまったらしい。
ある日映画館の月極め見放題のパスを発行している会社から200ユーロ近い請求書が来た。このパスは数ヶ月前に紛失してすぐ銀行自動引き落としを止めたのに何故?辞書片手に読めど訳せど契約書うんぬんの文面が理解できず。やっと会社同僚に解読してもらい、年間契約だから切れるまでパスを使おうが、紛失しようが請求される、契約が切れた2ヶ月以内に契約打ち切りの文書を提出しないと引き落としは続くと。ひぇ?半年以上も使ってないのにこの請求書に上乗せして満期まで払わなければならない?このフランスの銀行の自動支払い、これまでも何度か問題に遭遇、どうしてこう日本のように簡単に処理出来ないのか悩みます。一人暮らしは大変だ!
夢路とみこ
[288]新居獲得奮闘気(2)
新居が決まりお引越しをしたのは午前中の仕事が終わってからの夕方に。友人達に引越しのお手伝いをお願いしたものの皆さん都合が悪く来てくれたのは、最初の同居人と女性友達となんと大家さん。元同居人は体調が悪いので車で荷物の移動のみ。入り口からお部屋までの移動は私達二人ともう初老でスケルトンのように痩せている大家さん。エレベーターがあるから殆どの荷物はそれ程苦労せずに運べたのですが、最後のそして私の最大の宝であるロッキングチェア?がエレベーターに入らない。
エレベーターそのものが小さい事にも原因はあったのですが。それに気づかず6階の部屋でチェア?が来るのを待っていたら、螺旋階段の下から荒い息が聞こえるではないですか。慌てて降りてゆくと、そこには4階までロッキングチェア?を担いでくれた友人が、それも彼女はハイヒールを穿いていて。エレベーターに入らなかったことをその時しり、今度はスケルトンの大家さんがそれを担ぎ出し6階の玄関まで。
玄関に着いたら、今度は玄関にある本棚が邪魔してロッキング・チェア?様が入れない。ひぇ?見学に来たときにこの入り口の狭さ気づかなかった、エレベーターの件もそうだけど。そしたらハイヒールの彼女とスケルトンの大家さんが二人してこの本棚を動かしだした。二人は足が悪い私を気遣ってくれて手伝わないで良いからと言うものの、二人が怪我したらどうしようと見ていてハラハラ。
お引越し開始から4時間後、荷物は全部入り大家さんも帰り、ハイヒールの彼女と二人で引越し祝いに。でも、大家さん側の都合で引越しした日から数日間入居できず近くのホテルに宿泊。偶然なことにそのホテルは数年前にパリで開催されたインテリアの見本市に私が通訳として派遣された際に私のクライアントが泊まったホテルだったのです。ホテルの玄関に入ってそれに気づき、また、ホテル宿泊中の数日間、食事をしたブラッスリーはその当時お客さんとほぼ毎晩のように食事をし、お酒を楽しんだ店でした。全くの偶然。レ・ゴブランに移ったこと、最後の最後になって希望の条件に近いところに決まったこと何か運命的なものを感じています。
私の部屋からは道路を挟んだ御向かいの住宅が良く見え、それはまるでウッディ・アレンの映画の一幕のよう。メトロは7番線一本のみですが、バスは充実していてパリの主要な場所には殆どバスで行けるというこの便利さ。今後が楽しみです。
夢路とみこ