最近再びアルザス地方に行く機会がありました。この地方はクリスマスマーケットが有名だから冬に行くところと思われがちですが、いやいや、夏だって楽しい、美味しい地方です。
夏のアルザス地方、郷土料理を楽しむのなら私はこう行く。食前酒はCremant D’Alsace(クレマン・ダルザス)これはシャンパンと同じ製法で作った発泡性ワイン、ピノ・ブラン種で出来ていてシャンパンやクレマン・ド・ブルゴーニュよりもややほのかに甘い感じがします。
発泡酒がどうも、というのなら同種の普通のワインはどうかしら。ブルゴーニュでは黒葡萄のピノ・ノワールで美味しい赤ワインですが、白葡萄のピノ・ブランのワインはアリゴテ同様に軽くちょっとワインをというのにはお誂え向きです。この地方以外ではピノ・ブランをグラスで飲める店はあまりないのでこの機会にどうぞ。
この地方の郷土料理、シュークルートやベックオフは冬の料理。食べるだけで汗だくになりそう。やっぱりここはさくっと、Coq au Riesling(コック・オウ・リースリング=雄鶏の白ワイン煮)と行きませんか。リースリングはドイツワイン品種としても有名だけど、甘口ワインの「リープフラウミルヒ=聖母の乳」や「マドンナ」で知られるけど、アルザスのリースリングは甘さ控えめのややドライ。ブルゴーニュではコック・オウ・ヴァンと言い赤ワインで煮込みますが、こちらは白ワイン。クリーミーなソースがこの地方のパンとこのうえなくマッチする。
[127]ワインで村興し【1】
この通信局でも幾度か夏になると「グルメ歩け歩け大会」のようなワインと郷土料理を掛け合わせて楽しむハイキングのようなイベントがあることはご紹介済みですが、この手のイベントはワインの造り手のプロモーションになるだけではなく村興しにもなるという事で最近は新規参入の村が増えて来ているようです。
フランスワインの有名どころと言えばブルゴーニュ、ボルドー、アルザス、ロワール、ランドック、プロヴァンスと大まかに地方が浮かびますが、では、各地方の銘醸ワインの村と言えば、ブルゴーニュならシャブリ、ヴォーヌ・ロマネ、ボルドーならサンジュリアン、サンテミリヨン、ポイヤックとちょっとしたワインファンならここも浮かぶはず。
では、生産量も少なく、大した観光名所にもない、でも素晴らしいワインを造る隠れた銘醸地はどうすれば良い?という事でオラが村のワインをもっと知ってもらうには村まで来て試飲してもらうっさ、と始めたのがブルゴーニュ、ラドワ村のバラードグルマンであり、アルザス、シェールヴィラー村のサンティエールグルマンです。これらの村の成功に学び、ブルゴーニュ地方南部、サントネー村の造り手たちが立ち上がった。