私がこのフランスでブルゴーニュ地方以外に住むならば、それは迷わずアルザス地方でしょう。ワインだけならボルドーが一番好きだけれど、ワイン、郷土料理、景色、暮らし易さのどれを取ってもブルゴーニュに匹敵する位に気に入っているのはやはりここアルザス地方。
国内でもこの地方のワイン単価は高いと感じます。だから毎晩の晩酌というよりもホームパーティに出す時の1本かなアルザスワインは。そんな中、この地方のワインを心行くまで堪能出来るのが毎年9月第一日曜日開催のサンティエールグルマンドです。アルザスワイン街道にあるシェールヴィラー村は人口2600人強なのにこの祭りには3500人以上の参加者が四方八方から来るという。来るのは国内だけでなく山を越えてスイスやドイツから団体が。
ブルゴーニュのバラードグルマンド同様にこのサンティエールグルマンド(私は勝手に味覚歩け歩け大会と名付けています。)は6キロの道程を1キロ毎に郷土料理とワインを堪能するというもの。ブルゴーニュのラドワセリニー村がブルゴーニュらしい田舎風景なのに対し、シェールヴィラー村もアルザスらしい田舎風景です。切妻と木骨家屋は漆喰の壁がピンクやブルーで塗られ村中至る所に花が咲き乱れています。とてもメルヘンチックな村です。
[022]スミュール・アン・オーソワ
ブルゴーニュ=ワイン、ディジョンを出るとすぐに葡萄畑が広がるというのは嘘ではありません。でもブルゴーニュはそれだけではないんです。確かにワインの方が有名ですが、白牛のシャロレーだってブルゴーニュの特産品。ディジョンから3つ星シェフのロワゾー氏のいるソーリューに向かうとモルヴァン地域へと抜けます。そこは葡萄畑ではなく緑の丘陵地帯に白いシャロレーが放牧されて美しい緑と白のコントラストが楽しめます。谷間に広がる小さな村落など銘醸街道とは違った景色が広がります。
そのモルヴァンにあるSemur-en-Auxoisは絶景を持つ観光地です。時々日本のガイド本にも景観写真が掲載されますがほんの一部。画家や写真家にとても受ける村です。中心地にある教会のステンドグラスはワイン醸造家や鍛冶屋のギルド、第2次世界大戦時の米軍上陸の様子がモチーフとなっていて一般のステンドグラスとは一味違います。
教会の脇を降りて行くと川に出ます。その川から見上げる古城、ローマ水道橋の2ヶ所が絶景ポイントです。中世のなごりがとても良く出ています。ブルゴーニュはシーザーのガリア戦記の舞台になった地方なのでローマ建築の影響は田舎にたくさん残されています。また、洗濯船もあるので見逃さない様に。現在は使用していませんが昔の井戸端会議の声が聞こえそうなくらい原形を留めています。