[199]「パリ症候群」への不安

この兆候については日本でも様々な形で訴えられているし、その例も何度か「パリ日本人会」の心の健康相談に寄稿されている精神科医師、太田先生のコラムを読んでいるのでいつも気にかけているテーマ。既に4国での長期滞在経験があるのと、周囲が「とみこなら気丈だから絶対にこんな病気にはならないわよ」との言葉をいつも鵜呑みにしているけど、やっぱり私にもこの病気になる潜在的意識は絶対にあるはず。
最近この太田先生の著書「パリ症候群」を読んでみて益々自分にもやはりその可能性があると確信、不安になる。その理由は、私がテキサス留学時代に「アメリカ症候群」で軽いうつ病になり一時帰国した経験があるから。その時の状況は本通信の第110号でも紹介しましたが。では、それを経験して完治したかというとそうでもない。免疫はついたもののやはり想像と現実のギャップには今でも悩まされる、特に滞在期間が長くなれば成る程に。長く住んでいるから現地のやり方、あり方には慣れてきたし、打算的に黙認するすべも覚えてきた。しかし、その分、「もう私は日本では通用しないのではないか」という不安が襲ってくる。
一般的に「パリ症候群」について、巷では「パリ好き」か「フランスに幻想を抱いて渡航して来た人」に限定されているかのごとく言われているが、太田先生が紹介する凡例を読むとその幅は広く、「海外生活に憧れる」「海外で成功したい」という気持ちのある人なら、世界中に散在する私達の同輩がこの症候群に陥る予備軍であることが分かる。
私は船が好きで帰国を辞めてパリに移ってきた、もうその時点から「パリ症候群」が始まっているのかもしれない。ここに移ったからといって仕事が潤滑に進んでいるかというとそうでもない。都会だから営業活動の場が増えて良かったとは思う反面、厳しい契約条件に押し潰されそうになる事もある。そんな時はディジョンの時と一緒で、船が見えるところへ行き、大声でかっとばして、ちょっと泣いて、頑張るぞ!と言って帰宅。太田先生は、一見しっかりしてそうな人、キャリア志向の人にもその可能性がある事を示唆している。熱心、真面目さ故にもろいと。それが短期観光旅行だとしても、日本を離れる前にこの本を一読することを勧めたい。海外に目を向ける私達全てにその潜在意識があるからだ。
夢路とみこ

[170]若いうちに旅をせよ!

語学学習と旅は若ければ若いほど得るものも多い、失敗も多いからね。仕事柄、旅行が多いのですが最近はすっかりわがままになってホテルもバスタブ付じゃないと嫌だし旅先も美味しいものがないと行く気にもならない。そんな私にも擦り切れたジーンズを穿いてバックパッカーをした時代もあったなんて今のわがまま振りをみて人は想像するだろうか。
もう20年近く前の話ですが、留学中にやったバックパッカーの思い出。当時はまだ国境があり、東西の壁もあった頃、ウィーンから入るハンガリーは車内でヴィザがもらえ越境出来ると大学の仲間が言うから、ユーゴから入っても同じだろうと勝手に解釈して越境しようとしたら、捕まった。幸いな事に大学の仲間2 人との旅で語学も英語圏、スペイン語圏といて私の日本語を入れて仏留学中だから4ヶ国語対応と心強かったはず。しかし当時のハンガリーは東ドイツとの関係がより密接だからドイツ語の方が役立つ。

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