パリで家具や室内装飾をテーマとした大きな展示会があり通訳として派遣された。私が担当したのは高知県の間伐材木を使用して、特殊な技術と加工を施したバッグを中心としたアーティストの作品。ここで仕事をするまで、日本が木の文化だという事に全く気づかないでいた。いつもアジア=竹のイメージだから、日本も竹だ!と勝手に思っていた。でも、日本は東南アジアに比べるとその湿度は少ないから竹じゃない。中国の政策を「竹のカーテン」と呼ぶから、かぐや姫も竹だから、だからと言い訳を。
この機会を通じて日本が木の文化であることを知るとともに、海外から見た日本のイメージはきちんと進化している、現在の日本を知っている人は知っている、もう、ゲイシャ、フジヤマなんて古臭いことを言うのは時代遅れである、ということを確認出来た機会でもありました。
それにしても、日本の技術はすごい。展示していた作品の中に、製作者のアーティストが「モナ王」と呼ぶ最中の形をした変わったテーブルに人々の関心が寄せられた。芸術に疎い私にしてみれば「変なテーブル」でも、その価値が分かる人にしてみれば究極のデザイン。みんな触る触る、ためらいながら、はにかみながら、見ていて面白い。
来客は量販店から小売店のバイヤーを中心に、同業者であるデザイン関係の人や建築家、週末も挟んでいたので一般客も来ましたが、その反応は手ごたえあり。作者であるデザイナーが自ら出向いて接客したことも大きいのでしょうが、彼の持つ技術が驚異だったのでしょう。
語学もそうですが、私たちはいつも外にばかり目を向けていて、灯台元暮らしになっていませんか。外国語を学ぶことに熱心すぎて、国語がおろそかになりつつあるのは私だけでないはず。海外ブランドばかり追いかけてジャパンブランドの素晴らしさを見落としている資本家は日本にごろごろいるのでは。
接客で色々な国のデザイナーや技術者、バイヤーと話しているうちに「ジャパンブランド」の底力を感じました。海外のバイヤーは知っている、日本の海外ブランドのバイヤーと同じくらい鋭い感覚で。知らないのは海外在住で日本の情報が疎い私や、海外流行に翻弄される人かもしれない。
自らの才能に甘んずることなく、いつも目は外へそして高く向いていた、そんな日本人に会えた貴重な時間でした。
日本の驚異、ここのサイトでご覧下さい
http://www.t-shima.com/
夢路とみこ
[227]医療技術世界一は本当?
らしい、だからサッカーのロナウド選手もアラファト議長もアメリカを選ばすフランスに治療に来たと同居人は豪語する。でも、それなら私の背中の痛みなんてチョチョイのチョイ、チチンプイプイでしょうが、と文句たらたら。猛暑だし、寝返り打てないし、立ったり座ったりするだけで背中にお灸を据えられたように痛いから悲鳴をあげる。
この国の病院は日本のそれとはすごく違う。まず、内科医が掛かりつけの医者であり、そのクリニックはまるで弁護士事務所。診察台がなければ絶対に医者だと思えない。まずかかりつけの医者に行き診断を受ける。そこで処方箋を書いてもらい専門医へ行く、薬局に行く、レントゲンも同じ。かかりつけの医者に予約を入れる、専門医に予約を入れるととにかく待たされることが多い。どうしても待てないときは救急病院があるようで、そこまで行くと日本でイメージする白い巨塔の世界に入るわけですよ。
事故から4日後にやっとかかりつけの医者に見て貰えた。レントゲンを撮らないと判断出来ないと言うので、レントゲンクリニックに予約の電話を入れる。でも処方箋の文字が仏語のミミズ文字だから読めない、仕方ないのでクリニックまで処方箋を持って行く。予約が取れたけど翌日。痛い思いをしてここまで来てるのに、明日?涙がチョチョ切れる。撮れたレントゲンを見て先生は「肺に水が入ってるね、もう一度この部分大きく撮って貰ってきて」とまた処方箋。それ持ってまたレントゲンの予約を取りに行くけどまた翌日。
かかりつけの医者が処方した痛み止めは痛みが止まらない上に副作用で胃が痛くなる。同居人がくれた痛み止めは痛みは止まるが眠くなって日常生活が出来ない。呼吸もしにくい。ひっくり返ったゴキブリ状態が続くのを哀れに思った同居人は接骨院を予約してくれた。今度はそちらにレントゲンを持って出かけると「これね、患部の写真じゃないよ。患部は下だよ、もう一度撮ってもらって」というものの接骨院では処方箋が出せない、再びまたかかりつけの医者に出向き処方箋を貰う。猛暑の中、この移動は地獄。
とにかく痛いので、何か気休めにでも薬を飲んでいないと暑さと痛さで発狂寸前でした。手持ちの痛み止め全部飲んでたら、痛みは止まりだしたものの、今度は極度の痒みが。かかりつけの医者曰く、薬のカクテルで変な副作用になっていると。薬を止めたらやっと回復してきた。この国の医療技術世界一って本当かな。
夢路とみこ