[264]3つの風車で過ごす一日(1)

その昔、パリのモンマルトルには8基の風車があったらしい。それは小麦を粉にしたり、葡萄を圧搾してワインにする用途が目的で。
確かにモンマルトルはその昔、葡萄畑があり、今も一部ですけれど残っていて10月には収穫祭もあるくらいだから風車で圧搾したとしてもおかしくない。でもそれ程広くもないこのパリの一画にそれだけもの風車があったとは驚きですね。モンマルトルはパリで一番海抜が高いところだから風も十分に取り込めたのでしょう。
でもこれらの風車は革命や戦争で少なくなり、もともとの8基のうちに残っているのは、今は有名レストランとして栄えるル・ムーラン・ド・ラ・ギャレットくらいでしょうか。ここに風車があったことに由来する場所は、映画アメリで一躍有名になったカフェ・ドゥームーランやパリのトップクラスキャバレー、赤い風車と言えば、もちろんムーラン・ルージュが挙げられますよね。
この3つの風車を機軸に1日観光するとしたら。。。。
まずはやっぱり、アメリちゃんのカフェで朝食を取ることでしょうか。このカフェに行くにはメトロ2番線のBlancheブランシュで降りて目の前の坂を登るようにあがって行くと左側にあります。この坂道は両側が商店街になっていて小さなお店が、主に、食品やカフェばかりですがどれも庶民的なモンマルトルのよさが現れていてぶらりぶらりするのはとても楽しい場所ですね。
アメリちゃんのカフェはこの駅から徒歩5分もしないところにあります。映画の影響もあり、観光案内の内容にここを頼まれる事も多いのですが、事前に断っているのはここのトイレは「穴式トイレ」つまり仏語ではToiletTurk トワレット・ターク、トルコ風トイレというもの。何でトルコ風と呼ぶのかは今だに謎。
トルコ大使館の抗議文はいずこに?
お店の雰囲気は映画のそれよりももっと庶民的で、古きよき時代のモンマルトルという感じなのでですが。アメリちゃんのポスターもなんとなくレトロな雰囲気を醸し出しているし。ここはお洒落なモンマルトルというよりもおやじカフェと呼びたくなるような人間臭さ、情の奥深さが感じられる場所です。だから注文する朝食もクロワッサンというよりもバゲットを半分に切ってバターとジャムを塗る、タルティーヌがここらしい。
アメリのカフェ
CafeDeux Moulins
15rue Lepic 75018
tel:01 42 54 90 50
夢路とみこ
【関連記事】
[251]ルーブルを走る(1)

[260]パリで男の料理の腕を磨く

シャンブルドットに宿泊することが観光客の間で定着の兆しを見せつつあるなか、滞在中にホストファミリーから料理を習う体験型の依頼も増えて来ました。ここでの料理教室は至ってシンプル。マダムと一緒に朝市やスーパーでのお買い物に始まり、ランチか夕食の料理を教わりそして会食。宿泊者は夕食を、料理教室のみの人はランチを教わります。
料理の内容はだいたいが家庭料理、それもずぐ後で二本で実践できるようにと食材もごく平均的なものを選んでいます。だから覚えやすいし、またフランスでは調味料一つでも日本とは少し違うというエッセンスなども覚えられます。プロの料理人のレベルを求めるならコルドンブルーや料理研究家の講習があるけれど、マダムの都合さえ合えば一人でも受けてもらえるし、追加料金で日本語アシスタントも付けられるという気軽さがある。
いつもこの手のプチ留学の手配を依頼してくる旅行会社から「今回の希望者は男性なんですけど、どこのお宅がお勧めですか」と問合せがあり、男の手料理ならやっぱり教える側もムッシュが良いのでは、と思い、ムッシュが料理をするお宅のリストからトデア夫妻を選出。料理教室は女性の特許か社交場のように思われがちですが、最近は男の手料理はモテル秘訣のひとつ。日曜大工が出来て、車の整備に詳しく、料理も出来たらもうこれは白馬の王子様どころか、スーパーマンだ!
トデア夫妻はムッシュが料理をマダムがお菓子を作ることで、宿泊した人たちの評判はかなり良い。当日は私もブログの取材を兼ねてお邪魔した。朝、三人でムッシュの車に乗って20区にあるとても庶民的な朝市へ。パリの朝市は活気がある。これは季節を問わずに活気がある。この時期はちょうどジビエ、野禽の季節だから日本ではあまり見かけないお肉がたくさん見れる。野菜だってこの時期ならではのものが。ムッシュは日本から来た男性に一生懸命分りやすい英語でお肉や野菜の説明をする。とても楽しそう。料理をしている間も声をかけて、ジェスチャーを交えてとアクティブに教えてくれる。まさしくマンツーマンの料理教室。
ムッシュトデアの料理教室の模様
パリでのプチ留学は
夢路とみこ
【関連記事】
[257]ゲイフレンドリー(2)