海外出版の日本ガイド本に紹介されている日本の料理は「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」「江戸前寿司」とどの本も似たり寄ったり。これじゃあ「フジヤマ」「ゲイシャ」の時代から何の進歩もないような。日本出版のフランスのガイド本だって今では「クロック・ムッシュ」や「ウフ・アン・ムーレット」のような庶民が普段食べる、そして店でも一人前で注文できるものを紹介しているのにね。
私ならこう来る。まずは「立ち食い蕎麦」これには高度成長時代の日本の社会の昼食を「早く、安く、健康的」に支えた貴重な一品だから。そして居酒屋、特に紹介したいのは西新宿の「思い出横丁」ここは敗戦直後の闇市場がこの界隈に建ち並び、市場で売買した後の人たちの軽食を取る場所として戦後すぐに出来た場所。数年前の火事で一部が焼け再興されたけれど、私の行きつけの店「一富士」は昔ながらの佇まいをそのままに残す。ここには古き良き時代、西新宿の「ベルエポック」がそこにある。
[137]ディジョンB級グルメ
最近東京の渋谷でも「ケバブ」「シシカバブ」のサンドイッチ屋を見かけるようになりました。私が東京に住んでいた頃はまだ見たことなかったこのアラブ風豪快なサンドイッチ、帰国する度にライトバンで移動出店しているのを見て驚いています。ピタパンともポケットブレッドとも呼ばれる袋みたいなイースト菌の入っていない、聖書には「種無しのパン」と書かれている、この平たいパンの真中に野菜たっぷり入れて申し訳ない程度にローストした羊肉を乗っけたもの。
正統派はここでヨーグルトのような爽やかな味わいのブランシュ(白ソース)を掛けてもらう。ピリ辛派はアリサという唐辛子をそのままつぶしただけのように辛いソースをも入れてもらってる。ちょっとあんたそれは野暮じゃない、と私が口をアングリしているのはマヨネーズを入れてる人。やっぱりディジョネー(ディジョン人)ね、とその愛国精神に脱帽するのはマスタード使う人。ものすごいボリュームのあるサンドイッチだからこれだけで一食OK、ダイエット 3日間という感じ。