[294]マドレーヌ教会食堂

メトロのマドレーヌ駅周辺と言えば誰でも知っている高級ブティークがぐるりとマドレーヌ教会を囲むように並んでいます。そこにはアップルティーのフォーション、フルーツパテのエディアール、トリュフならメゾン・ド・トリュフ、バカラやサンルイなどのクリスタルのお店もあります。目の保養と日本へのお土産探しにちょこちょこと歩く場所ですが。最近ここに「マドレーヌ教会食堂」があることを知りました。

これは一体何なんでしょう、これはマドレーヌ教会が運営している「食堂」なんです、ホントに。通常教会の地下は「クリプト」と呼ばれる地下祭室で教会に縁のある王家の人や貴族のお墓、教会のお宝、つまり宗教儀式に使われる贅沢な祭儀用具があったりするんですが、ここの教会の下には「食堂」がある。もちろん同じ地下の別の場所に「クリプト」もあるとは思いますが、でも、「食堂」を持っている教会は、「寺町パリ」でもここ位なのではないでしょうか。

この食堂については「知っている人は知っている」という場所でここに来る人は殆ど口コミのようです。特に宣伝もしていないようですし、教会に行ったからといってすぐに分かる場所でもありません。私も人からそれを聞き、入り口を探すのに教会の側面をぐるりと一周してやっと見つけたくらいの「こんな所にあった」という場所にあったくらいですから。これについてはこちらのサイトで詳細をご紹介していますのでよかったらご参考に。
http://blogs.yahoo.co.jp/beaucaillou7/44889152.html

日本には宿坊という施設があってお寺に宿泊して禅の修業をちょっぴり体験したり、精進料理を味わえたり出来てそれが外国からの観光客に人気があるようですが。でも、それは日本の仏教文化を知る事が主旨のようで、あまりこちらのように教会の維持費を自分達で工面するための食堂経営とはちょっと違うようですが。

でも、ヨーロッパの教会は面白い。ビール造ったり、ワイン作ったり、フランスの有名な焼き菓子マカロンはナンシーにある修道院で焼かれたのが始まり、パリで食べるマカロンとはまったく別物の、まるで関西のカルメラ焼きのような素朴な味のお菓子ですが、自給自足という観念の元このような行為を起こすフランスの教会社会の中に、なんで人に頼ってばかりの「物乞い」の人がメトロの中をうろうろするんでしょうね。さっぱり分かりません。

夢路とみこ

[292]レストランでのマナー(1)

個人旅行のアテンドをしていて困ることが幾つかありますが、中でもこれは頂けないわと思うのはレストランにて日本のチェーンの居酒屋での飲食のようにお皿を回しあう事。これは他の席から見ると日本人独特の異様な光景に見えるらしく、礼儀正しい日本人というイメージに反して食事のマナーの悪い日本人という観念を植えつけてしまうようです。日本人の食事の仕方の嗜好を知らない人からすると「下品な日本人」という印象を持たれてしまうようです。
食の都フランスでは、昔よりは少し砕けてきた、リラックスした雰囲気にはなったもののそれでも食卓におけるマナーはあります。外食の際には、例えば、コースで前菜+メイン+デザートと3皿全部注文しなくても、やっぱり前菜+メインかメイン+デザートの2皿が望ましいようです。メインのみというのはランチタイムならまだ黙認のようですが、利益を出さないとギャルソンに払う給料の心配さえしなければならないお店にとって、メイン一皿と水道水だけ注文する夜のお客は有難い迷惑。
それだったらカフェかブラッスリーでお食事をすることを勧めます。こちらだったらレストランのような堅苦しさはないですし、お店の方もドリンクで採算が取れるように経営しているので。ただ、レストランのような雰囲気もなければ、メニューも簡単なものばかりですね。
数名で出向いてみんながそれぞれ違ったものを注文、人のものを味見してみたいという気持ちは分かります。でも、テーブルの端から端までお皿を宙に浮かべて回すのはやっぱりおかしいですね。ちょっとお隣のお皿をつまませてもらう程度で我慢してみてはいかがでしょうか。フランスのお料理は日本のおばんざいのような小さな分量というのではなく、量も多いですし一人一皿が原則です。食べきれないなら残しても構いません。お皿を他に手渡しするよりはよっぽどスマートですよ。
どうしてもフランスのメインは量が多くて入らない、というのであれば前菜を2皿頼む、前菜+デザートを注文するという手もあります。旅行に来ている人はそれが滑稽に写ることとしても、もう来ることはないだろう店だからと思われるかもしれませんが、貴方が町の案内役をお願いした相手はこの後もその町に住み続けるのでその後の居心地が悪くなりますよね。現地でお世話になっている人のこれからもぜひ配慮してくださいね。
夢路とみこ