[101]南仏の漁師鍋の味は?

日本から友達が遊びに来た。冬のディジョンの寒さには想像を絶するものがあったらしい。一応「こちらは寒いよ、マイナスだよ」とは注意していたものの可哀想な位に寒がった。せっかく遊びに来てくれたのに寒いだけのフランスを見せるのはどんなもんだと思い南仏に避寒することにした。去年はニースやカンヌへ行きとても避寒出来たのでマルセイユまで行けば太陽が私たちを待っているはず、と期待した。
ディジョンからのTGV、わずか4時間弱でマルセイユ。リヨンを過ぎればもう南仏。車窓の景色もアヴィニヨンまで来ると石灰岩が剥き出しの岩山が見えてきて映画「マルセルの夏」を思わせる。ここまで来ると気分はルンルン、暖かい気候と真っ青な地中海が私たちを待っている。はずだった。。。。。3日間の滞在中、異常気象でとても寒く風がびゅんびゅん。これだったら寒くても風のないディジョンの方が有難かったかなとも思った。
仕事柄旅行の多い友達に言わせると「マルセイユはナポリ」だそう。「ナポリを見て死ね」という言葉があるけれどマルセイユ見たからもうこれで成仏しそう。私にとってリヨンから南の景観はすべて南仏。あるのは洗濯物を外に干したオレンジ色した煉瓦屋根の家屋、椰子の木並木、外国人の私でもすぐ気づく訛りの強い仏語。ここはブルゴーニュじゃない。フランスって広い、本当に広い。全てを見るには、食べるにはこの先くらい時間が要る?

マルセイユに来たら何が何でも漁師の鍋で知られるブイヤベースを食べないと、と友達。マルセイユに来たら何が何でも近郊の村、カシス産の白ワインを飲まないと、と私。ブイヤベースは通常2人前から注文、一人旅ならスープ・ド・ポワソン(魚のスープ)で十分。ブイヤは鍋料理だけど奥で料理して魚とスープと別々に持ってくるからあまり鍋という感じがしません。しかしワインはやっぱり何が何でもカシスの白を飲むべし。このワイン、甘いんだけどドイツワインのような甘さでなく、魚の味を引き立てる甘さ。
私たちが行ったブイヤベースの店2件をご紹介します。どちらも旧港の周辺です。
シックな店:Le Fetiche 38,Rue St. Saens 13001 Marseille
電話:04-91-54-00-98
この店でカシスの白を飲み感動,そのワインはこれ
Bontoux Bodin Peres et Fils社の Cassis Blanc de Blanc
カジュアルな店:LA LOCOMOTIVE 58, Quai du Port 13002 Marseille
電話:04-91-56-66-84
こちらの店の方が「家庭的」な味のブイヤベースです。カシスのワインはなく、ランドックやコート・デュ・ローヌのカジュアルなワインです。
カシスのワインは市内のNouvelle Gallerie(というデパート)の地下食品売り場でも買えます。

夢路とみこ

[090]アルカッション

ボルドーから電車で南に50分ほど行くとアルカッションという湾岸の町があります。ジロンド入江にあるポワント・ド・グラーヴからバイヨンヌに続く長い海岸沿いをラ・コート・ダルジャン(銀色海岸)と呼びます。アルカッションはこの海岸沿いに出来たアルカッション湾の町。牡蠣の養殖が盛んな町です。
牡蠣と言えばこちらではノルマンディー産の細長いのやマレンヌと呼ばれる少し丸い形をした牡蠣は良く見かけるし、食べます。でもアルカッションの牡蠣は食べたことがないのでただその理由だけでこの町を訪問。感想は、ノルマンディーの高級リゾートをうーんと小さくした感じです。もっと庶民的というか中級リゾートというべきか。多分夏になるとフランス各地からフランス人が避暑に来るところで、アメリカ人や日本人がバスで押し寄せるようなそんな華やかなところではなさそう。
駅からCentre中心街と書いてある標識をみながらこじゃれた商店街やブラッスリーを抜けて行くこと15分、アルカッション湾に出ます。とても大きいので一見海のよう。たくさんのヨットが浮かんでいて頭にすぐ浮かんだのが森山良子の「この広い野原いっぱい」という名曲の歌詞の一節。「この広い海いっぱい咲く船を。。。。」のあの部分。あの歌を大声で歌いたくなる気分にさせるくらいにその歌詞どうりの光景が目の前に両眼に入りきれないくらい広がります。

“[090]アルカッション” の続きを読む