素晴らしい芸術作品や珍しいものはパリよりも地方の美術館などの方が多く名作との意外な出会いを求めるなら田舎へ行けというのは本当だと思う。これはブランド品を探すのにも共通するらしい。シャンゼリゼで何時間も行列するよりも地方都市のブティークの方が在庫がたくさんあるようです。
トゥールはパリからTGVで約1時間強。ここは世界でも珍しい芸術品に出会える。わざわざ足を伸ばしてパリから一歩出たフランス芸術観光の価値は大いにあり。
その一つはMusee du Compagnonnage職人の組合博物館。TGVやコンコルド、原発を持つこの国は、ハイテク産業の先端を行く一方でミッシュラン3つ星を獲得するために何年もの修行があったり、人の生き方さえも変えてしまうような素晴らしいワインを造る樽には樽職人の腕次第とデジタルなのかアナログなのかわからない、上手くミックスした国です。それがフランス人の頑固さを作るのでしょうか。頑固とこだわりの職人芸を見るのならこの博物館へ。フランス人ってこんなに器用なんだ、彼らは何事においてもエレガンスとアートを忘れないんだと関心します。
[073]ロワールの城巡り
ロワール地方のことを「フランスの庭」と言うけれど城巡りをするとそれに頷ける。確かに庭園も多いしまたそれがフランス庭園の集大成のよう。城巡りをしても庭にはあまり立ち寄らない観光客が多いと聞いているが、庭園巡りはセットメニューであるべきと私に教えてくれたのは田辺保著の「ロワール川流れのままに」。
庭園巡りの意義とその楽しさを余すことなく紹介するこの本はロワール城巡りの前に是非一読してもらいたい。城にまつわる人間模様盛りだくさんのエピソードを思い出し笑いしながら行ける。ただ有名だ、世界遺産だと言うよりもこれらの城には生き生きとした物語があり、サヴィーネ夫人が著したヴェルサイユ宮廷並みのドラマがある事を知るでしょう。学校では他国の歴史、それもフランス史なんて詳しく学ばないから。読んで訪れれば自分もその歴史の登場人物の一人になってしまいそう。