[304]ボーヌのマスタード

マスタードと言えば、やっぱりディジョンだけど、でも有名なシェフ達はディジョンではなくボーヌのマスタード、ファロのマスタードを使うことが多い。私自身はディジョン名物で昔からあるマイユの方が好きなのですが、でも、ボーヌのそれも悪くはない。お塩と一緒でその用途によってマスタードも使い分けるようにしています。マイユが好きな理由は白ワインがたっぷり入っているせいかまろやかな味わいがあるので、茹でたフランクフルトなんかに付けるのにはとっても良い。しかし、サラダドレッシングなんかで、ちょっとピリ辛の味を求めるときはやっぱりファロかな。
最近ディジョンではアモラマイユの工場閉鎖が決まりかなりの失業者が出るから大規模なデモがあったと聞いたばかり。ディジョンを代表するマスタード、マイユはアモラの高級ブランドで、アモラは一般的なライン。この工場の中にマスタード博物館があり、大昔に第6号でも紹介しましたが。多分、もうないんだろうな、この博物館も。
見学は完全予約制。ガイドは英語とフランス語ですが、一部日本語のオーディオガイドがあり、マスタードを作っていた昔の機械、殆どが木製なのでまたまたびっくりですが、の説明なんかはこのオーディオガイドで聞けます。マスタードの粒を食べてみたり、触ってみたりととても楽しいですね。フランス語の解説がわかんなくてもへっちゃらよ。
この博物館ではマスタードを自分で作る体験もできる、そして、見学の最後は試食会があり単にマスタードを試食するのではなく、マスタードをつけて食べれるようにカナッペやスティック野菜があるのが嬉しい。試食するものも、オーソドックスなものに、エストラゴン入り、フレッシュなエストラゴン、ハーブそのものは私はあまり好きでないのですが、マスタードの風味付けになっているのは美味しかったですね。そしてカシスがはいった、ピンクマスタード。私には慣れない味、でも一緒に見学していたほかのフランス人観光客には受けていたけど、味覚の違いでしょうねあれは。料金10ユーロで見学、試食、お土産、この会社は暫く倒産しなさそうね。
先日ここに観光アテンドで行った様子はこちらでどうぞ。
http://blogs.yahoo.co.jp/beaucaillou7/50800210.html
http://blogs.yahoo.co.jp/beaucaillou7/50800315.html
夢路とみこ

[303]日本症候群

パリの精神科医の太田先生が90年代に警告した「パリ症候群」については、こちらの著名な新聞ルモンドでも取り上げられ、TVのルポなんかでも時々話題に上るのでフランス人の間ではちょとは知られていますが、では反対に、フランス人に起こっている「日本症候群」についてはどれだけ知られているのか、また、そんな症状について研究している仏人精神科医がいそうな気もしないでもないが。
私が勝手に命名しているこの「日本症候群」は「日本オタク」とはちょっと違う。ディジョンに居た頃からこの手の人が周囲にいて、パリに来てからは付き合った相手にこれがいて参った。で、それはパリ症候群が女性に多いのに反してこちらは仏人男性に多いのが特徴。共通点は幾つかありパリ症候群のように日本の風景の写真を見ただけでうっとり、涙を浮かべて、「早く帰りたい」とつぶやき有給休暇の殆どを日本で過ごし、パリにいるときは日仏交流のイベントに通い、会社の中ではちょっと「浮いた存在」になっていることも多いよう。

太田先生がパリ症候群の女性について「日本人女性はキスに弱い」と書かれていたが、日本症候群の仏人男性は「日本人女性の男性体験、特に外国人男性との未経験さ」がはまってしまう原因なのかも。私の周囲の「パリ症候群」「日本症候群」の男女はともに、すごく真面目、恥ずかしがりや、オクテというのが共通点。ではこの男女がパリで知り合って上手く行けば事は丸く収まりそうなのですが、そうでないケースも多く。ケースを離脱した男女共に何故かしら現実離れした理想が高い。特に仏人男性の知り合いを見ていると自分とは反対の「ちょっとワルで、行動派で、社公的」な日本人を求めるけど、そういう相手はすでに同じようなタイプの仏人男性と付き合っているか、こちらでの男性経験も豊かになっているから、結局はここのギャップで不成立のようですが。

知り合いの欧州人女性が「日本オタク」と付き合っている。彼は一時は日本人に走ったけど日本人特有の「曖昧さ」に呆れてやっぱり欧州人へと戻ったものの、一度覚えた日本女性のナイーブさが恋しいのか一人で長期休暇を取り日本へ向かった。残された彼女は悶々とする毎日、「どうして私を一緒に誘ってくれなかったのだろう」とパリで涙を浮かべている。私は彼女のような忍耐力がないから、「日本」という言葉に敏感に反応する相手との交際は避けるようにしている。

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