[298]セルフレストラン(2)

セルフでもフランス料理以外によく見かけるのが、それも主だった観光名所の傍で見かけるのが「自助餐」と書いてある中華のセルフ。これは避けたい。だってTolbiacやBellevilleの中華街に行けば10ユーロ以下でおなか一杯になる麺や御飯類が食べれるんだもの。日本の中華バイキングの美味しさを君たちは知らないのか!と言いたくなるくらいにまずい店が多い。パリの中華街のシェフ達は泣いているでしょう。それを美味しいとニコニコしながら食べるフランス人の美食感覚にちょっと疑いを私は持ってます。でも、シャンパンもチェリコークも、ミッシュラン星付きもマックも大好きという私の美食感覚を疑うフランス人は周囲にたくさんいます。私の胃袋は日仏米を兼ねているコスモポリタン胃袋だと豪語してます。

セルフのレストランは前菜、メイン、チーズ、デザートと一応にフルコース揃っています。チーズに至っては、せっかくフランスに来たんだもの、ひとかじりでもいいからチーズは食べて下さいと私は観光客に言いたい。19世紀の政治家で有名な美食家のブリア・サヴァランは「チーズのない食卓は美人から片目を取ったようなものだ」と言ったくらい。だから私はできるだけチーズを食べるようにして両目があることをアピールしています。

私が好きなセルフのレストランのひとつは、高級デパート、プランタンの傍にあります。セールの時期じゃないとあまり足を運ばないお店ですが、サンラザール駅にも近いのでこの辺に宿泊している方にはお勧めの一軒。L’Havre通りにあるこの店は外にSELFと書いた大きな看板が目立つのですぐ分ります。この看板の下を奥まで入り階段があるので1階(日本の2階)まで登ります。同じビルの中には日系の旅行会社もあるので知っている人は知ってるかも。

ドアを開けて中に入るといきなり「前菜」がずらりと並んでいてその様子がどっかの学校の給食を思わせる。この店は他のセルフの店に比べて比較的種類は少ないですけど、でも、シンプルだから良いわ。あんまり色々あると迷ってしまうので。メインにはクスクスやローストチキンがあり、とっても庶民的。前菜もチーズもデザートもだいたい一皿2ユーロ、メインもこの店は7ユーロ程度というのがセルフのお店でもかなり安い方だと思います。
SELF
5 rue de l’Havre 75008
tel: 01 43 87 95 40

夢路とみこ

[297]セルフレストラン(1)

会社の倒産に伴い収入が減ったうえ、 異業種交流会での食事会を通してのネットワーク作りに交際費がかさばるので一人で外食のときに頼るのは専らセルフのレストラン。ここでも日本のファミレスのように家族連れや年配の方の「お一人様」のご利用が多いのが目立つ。それ以外はほかのヨーロッパ圏内から来る団体観光客かな。旗を持ったガイドさんに引率されて店内に乗り込んできてがが~っとブッフェを荒らして行く人たちの会話にドイツ語やスペイン語が多いのは何でだろう。フランス語や英語のメニューが読めなくても、ブッフェにここに皿にお料理が盛り合わせになっていてラップがかかっているからわかり易いので好むのだろうか。

メインは給仕の人に取り分けてもらって肉料理や魚料理を注文するけれど、前菜やチーズやデザートならラップがかかっているものをそのままトレイに乗せてレジまで行けば簡単だから、早いという利点もあってここに集中するのだろうか。いずれにせよ、セルフのレストランで食事をするとき私はパリにいることを忘れてしまいます。あまりにもインターナショナルすぎて、ここがフランスなのか、どこかほかの国なのかちょっとニンマリしてしまします。

セルフのレストランのメリットは早い、安い、それなりに美味しい、年中無休が多く、レストランやカフェの休みが多い日曜日や月曜日の食事ところを探す観光客にはとってもありがたい場所だと思います。セルフでも一応フランスだから、前菜からデザートまで庶民的ではありますが、一般的なフランスの料理が食べれます。前菜に田舎風雨のパテや魚のテリーヌ、サラダだってフランス人ならよく食べる、でもあんまり美味しくないベトラヴ(砂糖大根)がある。一皿2ユーロから4ユーロ程度だからそう悪くはない。

メインによく見かけるのはブブ・ブルギニヨン(ブルゴーニュ風牛肉の赤ワイン煮)があります。5年半もディジョンに住んでいてこのブブ・ブルギニヨンがいかなるモノかを熟知している私からすると「ざけんじゃねぇ」と言いたくなるブブ・ブルギニヨンもあるけれど、でも、これをブルゴーニュ風と考えず、ただの風牛肉の赤ワイン煮と考えれば許せる、いや、値段も一皿6から10ユーロ程度だから許す。

フランスに来たんですもの、セルフでもやっぱりフランス料理を召し上がってください!ホテルでスーパーのお惣菜、サンドイッチをかじるのは2食のうち1回にして。

夢路とみこ