ワインを最初に味わったのはフランス留学中の1987年、ローザンヌ勤務中の上司が副職でワイナリー経営していたのでそこで勉強させてもらってからワインに興味が湧くようになり、あれからかれこれ20年。ディジョンにいた5年半は飲んで印象に残ったワインのエチケットを収集しコメントを書いていてそれは1000枚にも達した。パリに来てからは生活を安定させるための仕事に追われ悠長にワインを勉強する暇なんてなしなし。ただ飲むだけ。
最近の仕事は外国人との接客が中心だから英語での業務が主流。今の同居人は英語学習者だから会話は英語のみ。だから貧弱なフランス語がますます使い物にならないものに。仏人から「何いっとるんじゃ!」みたいなことも最近は頻繁に言われるようになって。ディジョンにいた頃は語学学校に通っていたけど、パリではそんな金銭的余裕もなし。ワインを仕事にしている仏人と同居しているけど、ビジネス仏語の表現はもとより肝心なワインの知識が私より劣るからあんまり話にならない。
ときどき学生さんや語学学習者から「どうやったら語学って上達しますか」と聞かれる。定番の回答は二つ。「恋人をその言語の人にすること」と「興味ある分野の本を読むこと」。私の仏語が上達しないのは前者が達成されてない事が明らかなのですが、後者は頑張れる事。ディジョンを含む学生の頃はまじめに小説や政治雑誌を読んだりしてたけど、最近はご無沙汰。これらは読むと数ページで眠くなるし、辞書を引くのも面倒。小説は文法理解なしでは難問、政治は仕組みを知らないとお手上げ。
でも衰えつつある仏語なんとか応急手当しないと。で、料理本を読み漁ってみた。一行が短く完結だから読み易い。しかし、ここに難点が!これらを読むと、作って食べるから仏語の力も付くけれど、お腰のきびだんごも着いてきた。これはやばい、と思い、次なる手で考えたのは「そういえば最近全くワインの本を読んでないな」という事。でも料理本と同じでワインの本を読み出すとワインが欲しくなり、買い込むと給料がなくなるから。
で、落ち着くところはワインのクイズ本でした。これはワインで仏語だから一石二鳥。ワインに関する知識のおさらいと知識、仏語の増長。600問あるこれを全部読破したらこの二つはしっかり身につくような気がする。
Quiz du Vin
Kilien Stengel著
ISBN 978‐2‐10‐050873‐0
夢路とみこ
[275]パリで知る日本(3)
中華料理店にある「お酒」は日本酒と違いかなりアルコール度の強いもので、メニューでもそのままSAKEだから日本酒との勘違いは当たり前。しかし、私の周囲の外国人にはそれが分らない。酒豪の私でも、その本質を説明するだけの語学力がないので、日本酒に関するセミナーが11区の日本文化センターにて開催と知り早速、にわか勉強と大好きな日本酒を呑みに行きました。
フランスのワイン業者は良く日本へRPへ行くけれど、日本酒の業者がフランスにPRに来るのはワインEXPOがあるとき位ではないかな、と思う位に貴重なイベント。はせがわ酒店というネゴシアンが作り手である蔵元を引率しての来仏。作り手の話を聞きながら試飲するのは貴重で味わいが増しますね。彼らの努力と仏国市場開発への意気込みを感じた一時。異業種交流会のフランス人と一緒に行ったのですが、彼女は「今日、初めて日本酒と中華料理のお店で注文する酒の違いが分った」とご満悦。で、更に「今日飲んだお酒はパリのどのお店で飲めるのかしら」と。しかしながら、今回来られた方々のお酒はまだこちらには未輸出らしい。
はやり将来輸出を考慮してか、ボトルをワインの形と同じそして量も750mlというのも日本側の柔軟性を感じました。日本同様に美観を重視するこの国ではまず視覚に訴える商品でなければいけません。しかし、ワインを和食に合わせるのと違い、日本酒はフレンチに合うのかしら、の不安を打ち破るような物をこの試飲会で発見。これはフレンチでも行けるはずのお酒や焼酎がありました。パリには「ゆうりん」というフレンチ居酒屋が最近出来たそうで、私はまだ行ったことがないのですが、日本酒とフレンチのマリアージュの完成度に対する評判はすごい、私も行かなきゃ。
しかし、今回も思いましたけど通訳の方がすごい。すらすらと質疑応答などの通訳をこなす。翻訳と違い訂正不可なのが通訳、あれだけ適切な単語を揃えられる機転のよさに感服。会話は弁舌、発音上手でも的確な日本語で応対出来ないのは無意味ですから。
日本文化センター
はせがわ酒店
遊鈴 3 rue Valette 75005 01 43 26 05 32
火-土曜日 午後6時30分-0時、日曜日は11時まで
夢路とみこ