[268]ステーキタルタル(2)

前回この料理を紹介してから知り合いの日本人友人達がこぞってステーキタルタルにはまりだした。今、職場と呼べる場所が幾つかあってそのうちの一つがシャンゼリゼなものですから、シャンゼリゼ界隈のお店をちょこちょこ偵察に行っています。コンコルド広場から凱旋門の一直線のこの大通りに並ぶ店はよしにあしきに色々あります。でも、ちょっと横の路地に入ると、これはイケルという店にちょこちょこ出くわすのが、やっぱり美食の国らしい。
ステーキタルタルについて言わせて貰うと、シャンゼリゼでお勧めは現在2軒。一つはヴィトン側の通りをコンコルド広場に向かって下る途中にあるCulture Biere ビール文化?という名前のお洒落なビヤホール兼レストラン。ここはハイネケンが経営しているらしくビールのワンダーランド。地下にシックな大人のビールバー、地上階はビールグッズとカジュアルなビヤホール、2階は車椅子でも十分にアクセスが出来る設備が整っているレストラン。
ここのステーキタルタルはプロヴァンス風やオーヴェルニュ風と変り種があります。興味本位でオーヴェルニュ風を注文。なんとステーキタルタルの中にオーヴェルニュ産のブルーチーズが入っていて美味しいんだけど途中で飽きるコクの深さ。ビールにはぴったり。ビールもミニグラスで三種類楽しめるものが5ユーロ程度である。ビールのシャーベットはこの料理の後のお口直しとしてはものすごく気の効いた一品。
Culture Biereのサイトはこちら
http://www.culturebiere.com/
もう一軒はわき道のMarbeouf通りに入ってすぐのオーヴェルニュ地方はアヴェイロンのサラール牛に力を入れる店、La Maison de l’Aubrac。サラール牛とはバッファローのような角を持ち、気が荒い。お肉の美味しさとその牛乳はライヨールのチーズを作るなど怖い顔に似合わない食材。この店のステーキタルタルはそのサラール牛なのですが、お肉の色がまるでトマト。味はトロ。サラール牛の美味しさはステーキでは知っているけどタルタルは初めて。バスク地方のスパイス、エスペレットが効いていてピリ辛具合が良い。この店はオーヴェルニュ名物のじゃがいも料理、アリゴもありますよ。
La Maison de l’Aubrac のサイトはこちら
http://www.maison-aubrac.com/
夢路とみこ

[267]サン・クリストフの奇跡

サン・クリストフ、英語読みならセント・クリストファーとは、彼が方に幼子イエスを担いでヨルダン川を渡る姿がモチーフとなっていて、ペンダントヘッドやキーホルダーとしてこちらでは売っています。これは輸送、転じて旅行者の守護神として考えられています。ですからトラックやタクシーの運転手や私のように旅行を職業としている人が良く見につけています。
初めてこれを見たのはフランス留学時代の20数年前、当時の彼が車、オート好きで事故の回数も数知れず。でも、いつも九死に一生を得たときにはいつもサン・クリストファーのお守りがあったと。そして数年後、彼はツアコンになり、私はその十数年後に船会社に勤務することになり亡くなった母の結婚前の職業であった観光ガイド関係の仕事をしています。私の前からはその彼も母もいなくなってしまいましたが、不思議なことにサン・クリストフがそれを導いたのか、私が現在の職につくことは当時誰も想像しなかった出来事で。
私の首にいつも掛かっているサン・クリストフはなんと、ティファニー製、20年前に購入。どうやら限定品だったらしく、パリのティファニーで同じ物を探したら「これは本当にうちの商品ですか?」みたいなことを言われてしまった、かなり汚くなっているせいでしょうか。私の場合、九死に一生のような出来事はないですが、このサン・クリストフに助けられた事は何度も。
船で事故にあった時も、怪我は足だけ命には関わらなかった。パリで地下鉄構内に閉じ込められた時も時間は掛かったけど無事に救出されました。お財布やバッグを電車の中に忘れた事は数回、その時に限って他のネックレスをしている日でサン・クリストフはお財布かカバンの中に。。。。そしてそれは必ず私のところに無事に戻ってきました。
2週間前にインフルエンザが元で肺炎に係り高熱と悪寒が一時間の間にジェットコースターのようになりました。前の同居人、通称ママがICUに運んでくれて何とか助かったのですが。病院のベッドで苦しくて出るのは言葉ではなく涙ばかり、そんな時、必死にこのサン・クリストフを握り締め「せめて熱でパーになりませんように」と祈るばかり。お陰でパーにはならず、ちょっと片耳が難聴ですが回復は徐々に。
サン・クリストフのメダルはパリのモンマルトルはサクレクール寺院の売店で買えます。旅行する人、運転する人、一つは持っていたほうが良いかもしれませんね。
夢路とみこ