長期でしかも貧乏旅行となると必要なのはコインランドリー。私もいつもお世話になってます。町に着いたら観光局に立ち寄って地図を貰うのは当然だけどランドリー、郵便局、コイントイレ、夜間や日曜日も営業中のスーパーの場所確認もしておくと便利です。ランドリーに行く前に用意すべきは1ユーロと50セントコイン。両替機はあっても壊れてる事が多いので事前に郵便局にある自動両替器を利用しておくと良し。
洗い方ボタンを選択するとき、白物ならBlanche、色物ならCouleur、2回洗いならSynthetique、ウールならLaineを選ぼう。洗剤を入れる口が3つに分かれていたら一番小さい口が柔軟材を入れるところです。洗濯中に場所を離れるのは危険。洗い終わったものを勝手に退かして自分の物を入れるなんて事は良くある事、盗みも多し、でも図々しい人は洗濯中に自分の洗濯物も入れて洗うなんて破廉恥なことをする人もいます。この手は大学の寮の洗濯機に多いとか聞きます。
日本の洗濯機は渦巻き式で上から物を入れるから蓋が簡単に開くけれど、こちらはドラム式で横から物を入れるので表のドアを開ける事になります。このドア、引いて開くタイプとボタンを押して開くタイプとあるので分からない場合は他人のやる事を真似しよう。物を入れてドアを閉めてからコインを入れます。先にコインを入れると勝手に水が出て大変なことになるので要注意。また日本のランドリーと違いここにはスニーカーを洗う洗濯機がないからと言って、スニーカーを普通の洗濯機で洗うのは厳禁です。これはマナー違反も良いところ。また、ホテルの洗面所でじゃぶじゃぶと洋服を洗うのもマナー違反。特に水不足問題が尽きないこの国ではホテルにも「節水のご協力を」と呼びかけていますので、ランドリーへと。
両替機でコインを獲得したらキープしたいのはランドリーで必要な1ユーロ、50セント以外は20セントコイン。これはよくコイントイレで必要です。都会なら駅でもお釣りをくれるオバちゃんの有人トイレがあるけれど、地方はだいたい無人だから頼みの綱はコインのみ、でもお釣りは出ないし、きっちりと必要コインを入れないとトイレのドアは開きません。旅の終わり、コインが残ったら成田空港到着ゲートにUNICEFの募金箱があるのでそこに入れてあげて下さい。貴方が無事に帰国できた事を感謝し、また旅に出れるようにと祈りを込めて。
夢路とみこ
[199]「パリ症候群」への不安
この兆候については日本でも様々な形で訴えられているし、その例も何度か「パリ日本人会」の心の健康相談に寄稿されている精神科医師、太田先生のコラムを読んでいるのでいつも気にかけているテーマ。既に4国での長期滞在経験があるのと、周囲が「とみこなら気丈だから絶対にこんな病気にはならないわよ」との言葉をいつも鵜呑みにしているけど、やっぱり私にもこの病気になる潜在的意識は絶対にあるはず。
最近この太田先生の著書「パリ症候群」を読んでみて益々自分にもやはりその可能性があると確信、不安になる。その理由は、私がテキサス留学時代に「アメリカ症候群」で軽いうつ病になり一時帰国した経験があるから。その時の状況は本通信の第110号でも紹介しましたが。では、それを経験して完治したかというとそうでもない。免疫はついたもののやはり想像と現実のギャップには今でも悩まされる、特に滞在期間が長くなれば成る程に。長く住んでいるから現地のやり方、あり方には慣れてきたし、打算的に黙認するすべも覚えてきた。しかし、その分、「もう私は日本では通用しないのではないか」という不安が襲ってくる。
一般的に「パリ症候群」について、巷では「パリ好き」か「フランスに幻想を抱いて渡航して来た人」に限定されているかのごとく言われているが、太田先生が紹介する凡例を読むとその幅は広く、「海外生活に憧れる」「海外で成功したい」という気持ちのある人なら、世界中に散在する私達の同輩がこの症候群に陥る予備軍であることが分かる。
私は船が好きで帰国を辞めてパリに移ってきた、もうその時点から「パリ症候群」が始まっているのかもしれない。ここに移ったからといって仕事が潤滑に進んでいるかというとそうでもない。都会だから営業活動の場が増えて良かったとは思う反面、厳しい契約条件に押し潰されそうになる事もある。そんな時はディジョンの時と一緒で、船が見えるところへ行き、大声でかっとばして、ちょっと泣いて、頑張るぞ!と言って帰宅。太田先生は、一見しっかりしてそうな人、キャリア志向の人にもその可能性がある事を示唆している。熱心、真面目さ故にもろいと。それが短期観光旅行だとしても、日本を離れる前にこの本を一読することを勧めたい。海外に目を向ける私達全てにその潜在意識があるからだ。
夢路とみこ