私はカメラ好き。私のベイビーは85年に購入したミノルタX300というマニュアルカメラ。撮るのはもっぱら景色ばかり。20年近くいる私の旅仲間。撮る物は景色が中心。特に葡萄畑の写真を撮るのが大好き。ディジョンがあるコート・ドール県の意味する「黄金の傾斜」になる秋は私のベイビーには休暇がない。ベイビーの修理費に並んで私の財布を泣かせるのはフランスにおけるフィルムと紙焼きの高さ。パック販売されているフィルムスピードは200が主流。
安く焼いてくれる店でも24枚フィルムを出すと3日くらい掛かり5ユーロも取られる。これの倍くらいする店はサイズも大きいし品質も良い、でも日本ならもっと早くて安くって綺麗な仕上がりになるのに。フィルムももっと安いし。だから日本へ行く度にフィルムをごっそり買い込んでこちらに戻ってきます。カメラを最初に造ったのはフランス人、それもブルゴーニュはシャロン・シュル・ソーヌ出身のニエプス、なのに何故写真がこんなに高いの?彼らに言わせると「写真」は贅沢品扱いらしい。自分の考案したものが高く見積もられていると知り草葉の陰で聞くニエプスはニンマリとしているかしら。
[161]丘に上がった河童たち
今年も無事にクルーズシーズンを迎えた。この冬あんまり寒いから運河の氷が溶けなかったらどうしよう、船内改装工事終了が間に合わなかったらどうしようとハラハラさせられる事もあったけれどでもこれで一安心。冬の間、アルプスのスキーリゾートで働いてたり、アフリカやアジアに数ヶ月バックパック旅行をしていたクルーたちが元気に戻って来た。でも、全員が戻ってきた訳じゃない。中には去年を最後に丘に上がった者も。
以前にも紹介しましたがクルーは3月から11月までの9ヶ月間ずっと船で共同生活します。日本のユニットバス位の広さしかないクルーキャビンで彼らは寝起きし、乗客の入れ替えとなる週末の24時間だけが事実上のオフ。毎日移動しているから仕事を終わった後にちょっとお稽古事なんてのはない。船内にはTVも無ければ、ネットサーフするにも回線が不安定すぎる。乗客にとって僅か1週間の「離れ小島」状態でも彼らにはそれがワンシーズン。