海外出版の日本ガイド本に紹介されている日本の料理は「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」「江戸前寿司」とどの本も似たり寄ったり。これじゃあ「フジヤマ」「ゲイシャ」の時代から何の進歩もないような。日本出版のフランスのガイド本だって今では「クロック・ムッシュ」や「ウフ・アン・ムーレット」のような庶民が普段食べる、そして店でも一人前で注文できるものを紹介しているのにね。
私ならこう来る。まずは「立ち食い蕎麦」これには高度成長時代の日本の社会の昼食を「早く、安く、健康的」に支えた貴重な一品だから。そして居酒屋、特に紹介したいのは西新宿の「思い出横丁」ここは敗戦直後の闇市場がこの界隈に建ち並び、市場で売買した後の人たちの軽食を取る場所として戦後すぐに出来た場所。数年前の火事で一部が焼け再興されたけれど、私の行きつけの店「一富士」は昔ながらの佇まいをそのままに残す。ここには古き良き時代、西新宿の「ベルエポック」がそこにある。