いろいろある店の中でも特にこの店、Escriteau 好んで行く理由はひとつ。地元民ならず市場のお店の人までこの店で食べてるから、それだけカジュアルで庶民の味なんでしょう。
リヨンで食べるならソーヌ川の川魚で作られた「クネル・ド・ブロシェット」Quenelle de Brochet ピスタシオが入った「ソシース・リヨネーズ」Saucisse Lyonnaiseが私たち日本人には食べやすいかと思います。リヨンは臓物がお得意の地方なのですが本格的な臓物はブルゴーニュのジビエ同様にすごい香りと味がするので、フランス人でも食べ切れない人が多いようですから、無理はしないように。
リヨンの食事に合わせるワインは、コート・デュ・ローヌを初めとしてローヌ川沿いにおいしくそして希少価値の高いワインがたくさんありますが、でもあえて私が勧めたいのは、日本ではあまり飲む機会のない、ボージョレ・ブラン、白ワインかコトー・ド・リヨネの赤かしら。両方ともあまりにも庶民的なワインすぎてほとんど地元で消費されるのでしょうか、パリでもそんなに見かけません。ものすごくおいしいとか希少価値があるというわけではなく、「ものすごくジモティ」であるということが取り柄じゃないでしょうか。
このボージョレブランという白ワインは、南ブルゴーニュのサンヴェランというワインの事のようです。サンヴェランはAOCなので、それだけ商品価値があるからこれまでこの名前で打っていたようですが、最近では名前を本来のものに戻し、サンヴェランの枠の中からはずして独立した形で売る事で、レアものみたいなイメージ戦略のようですが。でも、ワインそのものはシャルドネ種でしっかりとした中にもボージョレの名前を取るにふさわしいフルーティさも感じられます。だから、クネルの甲殻類ソース、ちょっと甘みのあるソースにはこのワインが合うと私は思っています。
そしてピスタシオ入りのソーセージにリヨン名産のチーズ、サンマルセランで作ったチーズソースをたっぷりかけてオーブンで焼いた料理には、何といってもコトー・ド・リヨネがいいでしょう。ボージョレのような軽さではないけど、ローヌの他のワインのようながっしりさもなく、チーズソースのこの料理にはぴったりのワインでしょう
こちらもご参考にどうぞ
http://blogs.yahoo.co.jp/beaucaillou7/51302901.html
夢路とみこ
[279]ステーキタルタル(3)
ミッシュランの星がつく理由の一つに、わざわざ車を飛ばしてそこまで出かける価値があるからというのが基準にあるらしいのですが、それから考えるとこの店でステーキタルタルを食べるには、地下鉄とバスを乗り次いで、店がある敷地の中に入るのに3ユーロの入場料を払ってやっと席につける、となると、ここのこれはミッシュラン並に贅沢かもしれません。でも、この素晴らしい屋外レストランで頂くステーキタルタル18ユーロはそうしてまで来る価値があると私は思っています。もちろんこれからの季節のみの話ですけどね。
ステーキタルタルの美味しさの決め手は、誰がそれを作るかによります。腕力があって混ぜ混ぜに自身のある人ならシェフは不要でしょうけど、私は専らシェフがやってくれるかどうかを確認してから注文します。シェフが作ってくれる、ここで美味しさの7割は決まったもん。残りの2割はお肉が上質で、またそれはきちんと挽いてあるかどうかですね。挽き肉機にかけただけの、ミミズがたくさんいるような模様が見えるようではダメ、やっぱり更に細かく挽いてそれをスパイスや玉ねぎなどで上手く、あのミミズ模様が見えなくなるまでに原型を無くさないと。そして最後の1割はこのステーキタルタルをどのワインで頂くかによると思いますね。
私はステーキタルタルを注文するときに、ボージョレの10のクリュ(特級畑)のものを注文します。ボルドーやブルゴーニュではしっかりだし、コート・デュ・ローヌだとあまり平凡すぎる。赤でさっぱりしながらも深みがあるものとすると、やっぱりモルゴンやコート・ド・ブイイのようなボージョレでも上級のワインを選択するのが好きですね。
この店は、ブローニュの森にあるバガテル庭園の中にあるテラス・レストランです。バガテルと言えば薔薇園が有名で、つい最近も国際薔薇コンクールが開かれたばかり。園内の温室では夏になるとショパンのピアノコンクールを始めとして音楽イベントが盛りだくさん。今年は日仏友好条約締結150周年を記念した行事がフランス各地であり、この8月中旬まで「kimono」展が開催されています。結婚式の披露宴もこのレストランではよく見かけます。ステーキタルタルだけのために来る価値ある場所です。
バガテル庭園を紹介しているブログはこちらです
http://blogs.yahoo.co.jp/beaucaillou7/39993138.html
夢路とみこ